トトフ誕生!
一悶着あったが、あの後無事に秘宝調査隊の登録を完了させた。女性陣の分も委任状で代理登録し、正式に俺達のパーティーが誕生だ!
パーティー名は『トトフ』。
レガードに勝手に名付けられてしまったのだが、秘宝調査隊の夢が叶って嬉しいんだろうから……まぁ良しとした。
トトフとは”便利屋”。『どんな依頼でも承ります!』っていう意味で付けたらしい。何その宣言。ノア先生は「分かりやすくていいじゃないか」と気に入っていたけど……。
それはそうと、今、イアンさんにガミガミ言われているところだ。
「レイン、あのなぁ。あれはお前も悪いんだぞ! 興味ないとか!」
「は、はい……すみません……」
「ああいう冒険ラブのおっさん達は面倒くさいんだ。気を付けろ」
俺はチラッとレガードを見た。何でかは言わない。
てか、叱る時になってやっと名前呼ぶとか。ふてくされてやるー!
別に俺だって前世のトラウマがなければ、きっと普通の子供のように冒険者に憧れてるさ。
未だ、前世で死ぬ時の夢を見る。斬りつけられる痛みと無念、目の前がグラついて意識が遠のく感じ……。言葉では言い表せない苦しみと怒りで目が覚める。
この深く重いトラウマを、克服しないといけない――先に進むために。
他人と信頼関係を築き、長い長い冒険行動を共にできるようにならなければ、魔王討伐どころではない。
そのために仲良しとパーティーを組んだ。とりあえずはリハビリだな……。
「人の話、聞いてんのか!?」
あーまだ怒ってるよー。話長いよー。
「だからって俺のレインを殴り飛ばすなんて、ふざけた野郎だ。矢の一本くらいお見舞いしてやってもよかったか!?」
いやいや、怖いです。あなたの矢じゃ、普通に死にますって! しかも俺の、って何……。
あっ、話を変えるなら今だ!
「あのさ! 俺の友達の魔法矢を鍛えてあげてほしいんだけど……」
「ん?」
「初めまして! アシュ・ナリッドと申します! レインとはグライフ総合学園の同級生で、仲良くしてもらってます! 『リング』のイアンさんに憧れていましてっ! 一応メインの武器は弓矢で、魔法もアロー系を好んで使ってます! よろしくお願いします!!」
「凄え。息もつかずに一気に話したな、お前」
イアンさんも目を丸くする熱量で自己紹介をしたアシュについて、俺が補足をする。
「アシュは学年2位で、俺より優秀なんだよ」
「へえー。レインより強いなら、俺より強いんじゃねーの?」
「レインは学校では手を抜いてますからね、美術と給食の時間以外」
「あー、なるほど。確かにコイツが本気出したら学校壊れるか。……んまぁアシュだっけ、とりあえずお前の実力見てやってもいいぞ」




