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一悶着

「おーいレインー! オレらの番が来たぞー!」


 登録の列に並んでくれていたレガードとアシュが手を振って呼んでいる。


「あっ、呼ばれた。行ってくるね!」


「おう」


 イアンさんと別れて登録窓口へ移動すると、アシュが俺に尋ねてきた。


「今の人ってさ、『リング』のイアンさんだよね?」


「うん。色々お世話になってて」


「いいなぁ。俺、憧れてるんだ……」


「そっか。イアンさんはこの辺りで最強の弓使いだもんね。一度話してみる? また後で声かけてみるよ」


「まじで!? 話したい、話したい!」


 さっきから話したかったんだろうに、列に並んでてくれるアシュ。本当にいい奴すぎる。


「こんにちはー。秘宝調査隊の参加登録でよろしいですか?」


 レガードとアシュが「はいっ!!」と力強く答えると、受付の女性が気圧され気味に続ける。


「え……えーと、ギルドカードをお見せください」


 レガードが初心者のブルー、アシュと俺は第2グレードのグリーンのカードを提示する。


「そういやレインのカード初めて見たわ。オレだってグリーンまであと少しなんだからなっ」


「レイン、普段冒険の話、したがらないもんね」


 俺にとっては特に使い道がないカードだ。いつもは呼び出されてギルドに来るから受付も何もないし、ローネスト家のバッジを胸に付けてるから身分証明としても使う場面がこれまでなかった。

 ちなみにカードの色は、どれだけレベルを上げても12歳まではグリーンで、ランクもE以上にはならない。


「レイン様がこういった任意のものにご参加くださるとは思いませんでした。嬉しいです!」


「それ、さっきイアンさんにも言われたけど……」


「だってレイン様、『頼まれたから仕方ない』『冒険者になるつもりはない』っていつも仰ってるから……」


「まぁ、職業としては心底興味ないけど」


「ァア? んだと、ガキが」


「……!?」


 登録用紙に名前を記入している最中に後ろから何か言われ、振り返ると急に殴り飛ばされた。


「ちょっと! こんな所で子供相手に何してるんですか! マスター呼びますよ!!」


「レイン! 大丈夫かっ!?」


 側に寄ってからその声量はやめてくれ。うるさいよ、レガード……。


 腹に一発。不意打ちだったから身体強化がイマイチだったな……苦しい……。


「ゲホッ……」


 飛ばされて、隣の列に突っ込んでしまった。申し訳ない。


「君、大丈夫か!? ……って、えええ!? ローネスト家!?」


 自分も倒れながら、俺を受け止めてくれた眼鏡の男性。領主家のバッジを見て驚愕しながらも、殴った男に話をしてくれている。


「見ない顔だが、他所よそから来たのか? この方は、ここの領主家のご子息様だぞ。なんて人に手ぇ出してんだ……」


「ンなこた知らねえよ! このクソガキが冒険者を馬鹿にしたような口聞いてやがるからよ!!」


「ああ。あんたみたいなのが居る冒険者なんて職業、クソほど興味ねえよ」


「何だとテメ……ッ ……!? な、何しやがった! 動かねえ……」


 あー……何やってんだろ、俺……。


 ん? 後ろから足音がする。


「おいおい、坊ちゃん。大丈夫か?」


 イアンさん……。


「アンタは……『リング』のイアン……」


「あ、俺のことご存知? だったら、もうこの辺にしといた方が身のためだぜ。こいつは息子みたいに可愛がってんだわ。これ以上手ぇ出したら承知しねえぞ」


「チッ……」

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