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その時

作者: 武田道子
掲載日:2023/01/18

その時



いつか「その時」が来ることを知っているのに

私はそれを無視している

「その時」がくるのが怖いのではない

私への涙やゆがんだ顔が怖いだけなのだ

自由になれるときなのに

自分でつけたかせの重さを恐れている



霞ゆく意識の中で

解放されたからだは一つの泡になる

はじけることを恐れ

目を瞑ることもできずに

それでも命は

夏の朝に光る露のように

消えていく



「その時」が

いつなのかは分からない

けれども「その時」が来ることを私は知っている

「その時」は狭間の中に忍び込み

今か今かと

最良の時を待っている



予告もなく予想もつかない

誕生日と同じぐらいに記念すべき日に

誰一人として何も知らされることなく

いつ、どこで、どのようには重要ではない

結果だけが目の前に押しつけられる



「その時」私はどこで何をしているのだろう

人生の最も大切な日に

ろうそくを立てたケーキは

多分ない

聖水で清められ、香の煙に導かれ

私は従い、逝く

その時


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