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2)実力よりも気位が高いのは災いのもとだ

 案の定、アルノルトは、ルートヴィッヒと二人、王都竜騎士団団長のゲオルグの真正面に立たされた。その隣には、西方竜騎士団副団長のフランツ他、錚々たる面々がいる。彼らの前に立たされているにも関わらず、ルートヴィッヒは平然としていた。


「アルノルト。君は、本来は見習いを諫める立場ではなかったのかね」

「申し訳ありません」

ゲオルグの言葉にアルノルトは謝罪した。ルートヴィッヒが、アルノルトを不思議そうに見ていた。アルノルトにとっては、予想通りのルートヴィッヒの反応だった。ルートヴィッヒは、絶対に何が問題かわかっていない。


 ゲオルグも予想していたのだろう。

「ルートヴィッヒ」

「はい」

「まず、君が何をしていたか、説明してもらおうか」

「はい。竜舎の地下に空間があることに気づいたので、入り口を探して入りました」

アルノルトの目の前で、数人の上官達が肩を震わせた。明らかに笑うのを堪えている。


「そうだな」

ゲオルグも予想していたのだろう。苦笑していた。

「では、なぜ、それをした」

「地下にある空間が、何かわからないまま放置することを避けたいと思いました」

「なぜ、放置することを避けたいと思った」

「危険なものがあるかもしれません。あるいは、他へ通じていては不意打ちされる可能性があります」

「竜舎の地下からか」

「はい」

「そんな侵入経路を取るものがいるか。竜舎には竜がいるだろう」


 鼻で笑ったその男を見たルートヴィッヒの口元が、わずかに獰猛につり上がったことに、アルノルトは気づいた。

「そんなことをおっしゃっていると、あなたの寝所に賊の真似事をして、誰かがが忍び込みますよ。朝、己の顔の横に自分の剣が突き立っているなど、あまり気持ちのいい目覚めではありませんな」

ゲオルグも含め、幹部数人が経験させられた最悪の目覚めだ。笑い話のように語りながら、警告しようとしたゲオルグの気遣いは、無駄に終わった。


「は、やれるものならどうぞ」

貴族出身の竜騎士は、総じて気位が高い。男の明らかな挑発に、ルートヴィッヒがゲオルグを見た。アルノルトは、ゲオルグがわずかに頷いたのがわかった。あの男の運命は決まった。自業自得だ。



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