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1)付き合ったのは間違いだった

 上のほうから、小石が降ってきた。

「見つかったようですね。居ないことに気づかれたと言うべきかもしれませんが」

こんな時にも落ち着いて、丁寧な口調を崩さないルートヴィッヒに、アルノルトは腹が立った。

「お前な、落ち着いている場合か」

「慌てる必要があるとは思えませんが」

空気穴から、小石や砂が落ちてくる。鶴嘴(つるはし)を持ってこいなどという怒号も聞こえる。


「やはり、入り口をご存じないようですね。戻りましょうか。あまりお手間をかけていただくわけにもまいりません」

「あぁ、そうだな」

アルノルトは、上から聞こえてくる先輩達や、幹部達の怒号に平然としているルートヴィッヒが憎らしくなってきた。


 人目を避けるように行動するルートヴィッヒに気づいて、単独行動を諫めようとしたのだ。地下に何かあるから見に行かないかと誘われ、つい面白そうだと思って、ついて来たのが間違いだった。


「せっかくですから、もう少し下も確認したかったのですが」

ルートヴィッヒは、螺旋階段周囲の地下牢を蝋燭で照らして覗き込んでいた。刺客から取り上げたという奇妙な道具は、蝋燭の明かりを集めて、周囲を明るく照らしていた。


「鍵を開けないと、中の確認ができません。道具を持ってきたのですが。時間もないのが残念です」

アルノルトの口からは、もはや溜息しか出ない。残念なのは、ルートヴィッヒの頭と、ルートヴィッヒの誘いにのったアルノルト自身だ。ルートヴィッヒが鍵を開ける道具を持っていることに、疑問を持たない自分も、相当ルートヴィッヒに毒されているかもしれない。


「灯りを持っているのは私です。アルノルト殿に先を歩いていただいた方が、足元が見えるのではないでしょうか」

「あぁ、そうだな」


 ルートヴィッヒの細やかな気遣いは、使い道が間違っている。アルノルトが気づいて欲しいのはそこではない。この真面目だが、何かおかしいルートヴィッヒとともに、幹部たちの前に立たされる原因になった自分の決断を後悔していた。


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