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14)軍法会議2

 本来裁かれる側を裁く頃合いだろう。ゲオルグは鍵となる言葉を発した。

「そうだな。確かに一部だ。そもそも私が許可したからな。ハインリッヒ、お前は少し離れたところにいたが、聞こえたか」

「詳細は聞き取れませんでしたが、団長が何かおっしゃっておられたように思います」


 嘘でもなく、本当でもないハインリッヒの発言に、ルートヴィッヒを糾弾しようとしていた南方竜騎士団の幹部達に動揺が走った。

「そうだな。私はルートヴィッヒに、私の兜を被って飛び、仲間を鼓舞することを許可した。何か問題があるのか」

「しかし、あなたの意識はなかったと」

幹部の一人の指摘に、ゲオルグは苦笑した。

「あぁ、既に朦朧としていたからね。そう誤解されても仕方ない。しかし、ルートヴィッヒの独断なら、ハーゲスがルートヴィッヒに手綱を取らせるわけがないだろう。それくらい竜騎士であればわかるはずだ」


 竜騎士と竜の結びつきは強い。ゲオルグが許可したから、ハーゲスが他人であるルートヴィッヒを乗せたと言われて反論できる者はいない。実際は、ルートヴィッヒが提案した敵討ちに、ハーゲスが同意しただけだ。

「たしかに暴れ竜と名高いトールが、自分の乗り手が他の竜に乗るなど許すとは思えませんし」

静観していた男は、どちらの側につくかを決めたらしい。


 他人に言われて初めて気づいたが、ゲオルグは重々しく頷いてみせた。

「ルートヴィッヒは、朦朧としていた私の指示をしっかり理解し、私の兜を被って飛び、味方を鼓舞した。そればかりでなく、敵の隊長の首もとり、他数名竜騎士も片付け一気に相手の士気を削ぎ、味方の損害を最小限に抑えた。見事な働きだったと聞く。よくやった、ルートヴィッヒ」

「ありがとうございます」

ルートヴィッヒが微笑み一礼した。出会った当初に比べ、少しずつ表情が豊かになってきた。


「そのような話は聞いていない!」

南方竜騎士団の団長が叫んだ。

「そうだな。君は部下から、きちんと報告をうけたのかね」

「なにをおっしゃる」

「そもそも、報告を受ける前からなぜ、ルートヴィッヒが私の兜を被ったと知っていたのか、説明していただこうか」

糾弾する側だと思っていた男が、糾弾される側に回った。



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