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13)軍法会議1

 ゲオルグの見舞いに、南方竜騎士団団長がやってきた。

「重大な軍規違反を裁かねばなりません。どうか、軍法会議の招集を」

見舞いは単なる口実だ。

「あぁ、そうだな」

ゲオルグの言葉に、意気揚々と南方竜騎士団団長は必要な人員を集めると言って出て行った。


 王都竜騎士団団長のゲオルグは、軍事の最高責任者だ。軍法会議での決定権は、ゲオルグにある。他数人、団長や副団長などの幹部がいれば軍法会議は成立する。


 関係者、ほぼ全員が一つの部屋に集められた。ゲオルグを中心に、南方竜騎士団の幹部たちが一列に並び座っていた。その前にルートヴィッヒが一人立っていた。アルノルトは、許可なく指揮をとった自分も裁かれるべきだと主張し、ハインリッヒは地上にいた自分も証言すべきだと主張したが、両者の主張は認められなかった。


 当日その場にいた若手を全員排除し、幹部だけの軍法会議は不当だと若手達は猛抗議した。結果、ルートヴィッヒの背後に若手達が並んで座り、幹部を反抗的に睨みつけるという異様な光景となっていた。


 軍法会議で裁かれるはずのルートヴィッヒは、常と変わらず静かに姿勢よく立っていた。それに対して、糾弾するはずの南部の幹部達の一部は気分が高揚しているのか、明らかに浮ついていた。逆に落ち着きのない者、静観しようとする者もいた。


 ルートヴィッヒを竜騎士から解任したら、既に臣籍降下し平民となった彼は身を寄せるところがない。それを狙っての軍法会議だろう。国王に忠誠を誓っている竜騎士が、貴族の派閥争いに囚われているのだ。いまだに派閥争いは尾を引いていた。


 ルートヴィッヒは見習いのころ色々しでかし、こういった場に立たされていた。よくも悪くも慣れており、落ち着いていた。


 当初、ルートヴィッヒを心配そうに見ていたアルノルトも、苦笑すると数人の若手に耳打ちし、出て行った。ルートヴィッヒが落ち着いている以上、打ち合わせより早いが、問題はない。ゲオルグも若手の退席を黙って見送った。 


 軍法会議は南方竜騎士団団長の発言から始まった。

「ルートヴィッヒ。お前は、若手の合同訓練部隊が、森で他国の軍と接したとき、その場にいたな」

「はい」

「現在、王都竜騎士団団長の兜を陛下から賜っているのは、ゲオルグだ」

「そのゲオルグの兜をとり、被って飛んだことは間違いないか」

「はい」


 幹部たちの糾弾にも、ルートヴィッヒは動じた様子もなかった。

「何か、申し開きはあるか」


 ルートヴィヒは黙って答えなかった。ルートヴィッヒは、もともと口数が少ない上に、言い訳を嫌う。正確性を重んじ、推測でものを言おうとしない。

「申し開きはないのか」

「当時、あったことの一部は、おっしゃる通りです」

「一部だと」

「はい」


 言い訳や謝罪を期待していたのであろう幹部達は、肩透かしをくらった。糾弾されているはずのルートヴィッヒは、落ち着いた雰囲気のままだ。逆に、幹部の側に、居心地が悪そうにしている者もいた。

「お前は、では、何が他にあるというのだ」

南方竜騎士団団長の言葉に、ルートヴィッヒが口の端を吊り上げた。

「私よりも、あの日何があったか、あの日以前のことも含め、ご存じの方々がおられるはずですが」

「何だと」

幹部たちは気色ばんだが、ルートヴィッヒは何も言わずに酷薄な笑みを浮かべていた。ルートヴィッヒの視線から、南方竜騎士団団長は目をそらすことができなくなった。糾弾しようとしていた側が、怯んでいた。


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