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12)若手の企み2

「お前が常に警戒しているのはわかるが、なぜ今ここでそれを見せるんだ」

アルノルトは、ルートヴィッヒが倒した刺客の暗器を収集していることを知っている。ルートヴィッヒは相手を知るためだというが、アルノルトには単なる趣味にしか思えない。


「ここにおられる方々に対しては、別段警戒してはおりません。使う可能性があるのであれば、持っていることを教えたりはしません。私が警戒しているのは、ここにおられない方々です」

ルートヴィッヒは、言葉を切った。周囲が自分の声に耳を傾けていることを確認し、口を開いた。


「我々若手の訓練を、ゲオルグ団長が率いておられたあの場に、何故、彼らが都合よく現れたのか、疑問に思われませんか。それが、もう一つの気になることです」

ルートヴィッヒの言葉に数人は息を飲んだ。


「ゲオルグ団長の警備は必須です。おそらく、今回の標的はゲオルグ団長です」

この場にいないハインリッヒ達数人の若手がどこにいるか、全員が察した。


「ここで、私が話したことを、陛下が治めるこの国を裏切っている南方竜騎士団団長と一部の幹部にお話されても結構です。その決断は、御一人御一人に任せましょう。ただ、その場合、敵国と通じ、国王陛下の剣と盾である王都竜騎士団ゲオルグ団長への裏切りに加担したものとみなされます。その意味を重々お考えになり行動されますように」


 ルートヴィッヒは酷薄な笑みを浮かべ、周囲の竜騎士達を見た。ルートヴィッヒと目が合った数人は、背筋が凍るような思いを味わった。

「つまりな、俺達が本来敬愛すべきだった南方竜騎士団団長の極刑は確定だ。国王陛下の剣と盾である王都竜騎士団ゲオルグ団長への裏切りは、陛下への謀反と同じだからな。おまけに他国と通じていたなら反逆罪だ。犯罪者を見限らない奴も、首と胴体がお別れすることになるという意味だ」

穏やかにも聞こえたルートヴィッヒの言葉を、アルノルトが言うと現実味が増した。


「証拠はあるのか」

ルートヴィッヒはその質問に答えず、酷薄な笑みを浮かべたままだった。

「証拠もなく、極刑が確定するわけがないだろう。この意味が分からん奴は、見習いからやり直して来い」

「アルノルト、極刑は確定ですが、斬首が適応される可能性は低いです。他国と通じていた以上、量刑は重くなります。結果は同じですが、斬首刑よりも過酷な刑が適応される可能性のほうが高いでしょう」

極刑であっても、罪の程度と身分で、方法が異なる。だが、ここでの問題は、法学ではない。


「ルートヴィッヒ、アルノルトの言葉は単なる言い回しだ。斬首になるといいたいわけじゃない」

苦笑しながら言ったのは、南方竜騎士団に所属する竜騎士だった。合同訓練開始時には考えられなかった光景だ。


「そうだったのですか。特に今回のように、他国とのつながりが明確な場合、量刑が重くなります。誤解があってもいけないと考えました。細かいことを申し上げまして失礼しました」

「いや、いい。因みにどうなると思う」


 何気ない一言に、ルートヴィッヒは真剣に考え始めた。

「隣国への見せしめの意味も必要となります。この辺り一帯の有力者への警告の意味を持たせようとするでしょう。そうすると適応しうる極刑の中で」

ルートヴィッヒが淡々と量刑の根拠を口にし、検討を始めた時点で、一人が叫んだ。

「いや、いい、まて、それ以上言うな。やめてくれ」

その言葉に賛同する声があがった。

「では、極刑の後、国境沿いに何らかの方法で晒すだろうということだけにとどめておきましょうか」

ルートヴィッヒはもう一度、酷薄な笑みを浮かべた。


「いや、お前、それ、止めてないだろ」

「想像したいものではないな」

「極刑にはいろいろってそういや、見習いの時に聞いたな」

騒ぐ竜騎士たちをアルノルトとルートヴィッヒは静かに見ていた。若手の掌握が出来たのならば、次へ進む事ができる。

今、証拠はあるが、十分とは言えない。数日以内に手に入るはずの証拠の確保が、最大の課題だった。


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