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7)砦での出来事2

「なんだったんだあれは」

ルートヴィッヒの見習い時代を知る者は、唖然とする他の仲間を見て笑った。似たような光景は何度も見た。無茶をした見習いのルートヴィッヒを、教育係のアルノルトが叱るのは日常だった。


「彼は、あれくらい強く言わないとわかりませんから。問題はありません」

ルートヴィッヒをよく知らない者は、ハインリッヒの言葉に呆れ、よく知るものは頷いた。


「それはそうと」

ハインリッヒは、ルートヴィッヒが倒れた原因の一つ、南から付いて来た五頭の竜に向き直った。


「お前達、お前達が、ルートヴィッヒに無理をさせたということはわかっているのか。そもそも勝手に付いて来たのだろうが。ルートヴィッヒの優しさに付け込むやつがあるか。あいつがトールとハーゲスの面倒をみるから自分達も、など甘えるな。トールはルートヴィッヒの騎竜であり、ハーゲスはゲオルグ団長の騎竜だ。勝手に付いて来たお前達とは立場が違う。大人しく私達に世話をさせろ。私達相手に反抗するな。文句があるなら、いつでも出ていけ。ここにいることを選ぶなら、いちいち私達を威嚇するな」


 ハインリッヒはピッチフォークを、竜達に突きつけた。

「お前達の寝藁を交換する。邪魔はするな。私達は南の流儀を知らない。悪いが、受け入れてもらうしかない」


 ハインリッヒが、威嚇する竜と睨み合っていると、アルノルトが戻ってきた。

「ルートヴィッヒはどうしていますか」

「食欲は無いというから、部屋で寝かせた。あとで何か食べさせないとな」


 アルノルトは、周囲を威嚇し続ける南の竜を見た。

「ルートヴィッヒは、お前たちが付いて来たことに責任を感じている。俺達には、お前たちがなぜ、どういう理由で付いて来たかわからない。自由にしてやったのに、付いて来たのはお前たちだ。今からでも野生に帰っていい。それでもここにいるというなら、ルートヴィッヒ以外の人間も受けいれろ。少なくとも、俺たちはお前たちを傷つけるつもりはない」


 威嚇の姿勢を崩さない竜にアルノルトとハインリッヒは顔を見合わせた。このままでは、ルートヴィッヒが一人で七頭もの竜の面倒を見続けることになる。

「いい加減にしろ。お前達は、ルートヴィッヒを殺す気か」

「ルートヴィッヒはお前達の傷を手当するため、人間の薬師を連れてきたりしているだろう。お前達を私達がちゃんと面倒を見ているとわかれば、ルートヴィッヒは安心して休むだろうし、食事もする。私達を信用する必要などない。ルートヴィッヒを信頼するなら、彼に食事や寝る時間をやってくれ」


 アルノルトとハインリッヒの言葉に、竜達は威嚇を止めた。


「あいつが、竜に何を言ったか知らんが。竜を相手にするのと同じ程度、人に話せば少しは付き合いやすくなるんじゃないのか」

アルノルトの言葉に頷く者は多かった。


「アルノルト、この竜に関しては各団から一人ずつ順に、面倒を見る人間を出してはいかがでしょうか。今は、あなたは、ゲオルグ団長をお願いできますか。ゲオルグ団長に誰かが付き添っていないと、ルートヴィッヒが這ってでも」

「確かにな。俺は戻る。竜のことは、お前に任せた」

ハインリッヒが最後まで言わずとも、アルノルトはその先が予想できた。

「元教育係の腐れ縁だ。まかせておけ」

「よろしくお願いします」



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