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2)日中の襲撃

 翌日も、ルートヴィッヒは何事もなかったように訓練に参加した。変わりない日常の訓練が過ぎていった。ルートヴィッヒが薬師のもとに通わなくなったことを確認して、アルノルトは少し安堵した。


 飛行訓練の日だ。竜騎士の大半が飛行訓練で飛び立った。見習い達とアルノルト達教育係は、地上に残った。面白くもない見習いの訓練に付き合っていたときだった。


 見慣れない連中が、乱入してきた。

「刺客だ! 逃げろ、あなた方には関係ない」

ルートヴィッヒは叫び、飛んできた何かを訓練用の剣で払い、乱入してきた男たちと切り結んだ。


「黙れ、見習いは逃げろ、竜騎士を馬鹿にするんじゃねぇ」

見習い達が慌てて訓練場から建物内へ向かって走った。一部は手近なものを手に取り、刺客に応戦した。竜騎士達も、侵入者たちと切り結ぶ。ルートヴィッヒも、訓練用の刃をつぶした剣で、刺客の攻撃を退けていた。


 やるな。視界の隅にルートヴィッヒが戦う様子を見てアルノルトは思った。実戦は、訓練とは違う。相手が繰り出す攻撃に、柔軟に対応できなければいけない。ルートヴィッヒは実戦慣れしていた。


 すでに数人の刺客を葬り、残る数人を追い詰めた時だった。


「動くな、こいつがどうなってもいいのか」

刺客の声が響いた。見習いの一人が拘束され、その首筋に剣が突き付けられていた。


 ルートヴィッヒの動きが止まった。

「そうさな。王子様。あなたの国民のための尊い犠牲を払おうという精神は素晴らしいものがあるよ。剣から手を放してもらおうか」

無言のルートヴイッヒの手から離れた剣が、地面にぶつかり、硬い音をたてた。蒼白な顔に表情はなかった。


「ずいぶん手こずらせやがって」


 ルートヴィッヒに近づいた刺客の一人が、剣で、ルートヴィッヒの首に浅い傷をつけた。首筋から血が流れだす。ルートヴィッヒは、表情を変えず、動かない。その手が強く握られているのが見えた。自分たちの優位を確信し、いたぶろうという刺客の態度に、アルノルトは怒りを覚えた。


「てめえら、竜騎士を、コケにしやがって。おい、見習い、恥を知れ。掴まって情けねぇと思わねぇのか、腰抜け、足手まとい、役立たず」

アルノルトの叱咤に、見習いが動いた。頭突きで拘束が外れ、それを見たルートヴィッヒが、刺客の手から剣を奪い、その胸に突き立てた。


 優位を取り戻した竜騎士たちに、残る刺客たちは地面に横たわることになった。


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