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ナイス ディール!  作者: 山崎 彦一
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no Cache・no Credit・no job history(金なし・信用なし・職歴なし)

 現在のカジノ・カイザーフェニックスのオーナーのミセス・ローズは父から莫大なカジノの遺産を3年と3か月前に受け取り、彼女は総支配人を兼任している。


 彼女の今の悩みは、総支配人に就任したとき、自ら採用した自分より13歳も若いカジノのスタッフ・ジャックのことだ。彼は職務上のルール違反を犯し、姉妹店で大勝したのだ。


ブラックジャックというギャンブルには、数学者エドワード・O・ソープ氏が発見した「カード・カウンティング」というカードの残り枚数と数学を駆使し、常勝に近い勝率を導く方法が見つかっている。もちろん、違法行為イカサマとして認定されている。


ジャックがカウンティングを駆使していたのか、カジノに設置されたビデオで確認したが、ローズはすぐに彼の致命的なゲーム中のプレイミスを何か所も見つけている。そして、不思議なことにジャックがミスをするとき、彼は運に恵まれ、エースと絵札で2.5倍づけ(この組み合わせをブラックジャックと呼び、ゲームの語源となった)を引き当てている。


ジャックのプレイ自体は疑問が残ることが多かったが、実際には大勝利である。職務上も彼を許すことはできず、懲戒解雇に加え、カジノの総支配人兼オーナーとしても、何かしらのさらなるペナルティを課すことを検討しなければならないであろう。


彼女が何を迷っているのかは、彼女の秘め事なのだ。彼女は、まさにジャックに今も恋をしている。そして、まだ未練があるからなのだ。出会った時からの一目ぼれだった。


「no Cache・no Credit・no job history」(金も信用も職歴もない)


金も信用も職歴もない23歳の若者を採用したのは、高身長のルックスと金髪と甘いマスク、獲物に狙いを定め、射るような猛禽類のような澄んだ青い眼に惹かれたからだった。


ジャックの希望はブラックジャックのテーブルだったが、ローズは本能的にバカラのテーブルを任せた。それは、彼がブラックジャックであれば、客と組んでカウンティングの不正をするのではないかという、漠然とした7割の不安と、カジノで最も人気が高くVIPを任せられるバカラテーブルで活躍してほしいという3割の好奇心からだった。


運命の歯車は、小さなことで狂いだす。彼女もまた、ギャンブラーだったのだ。


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