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5.「何故家族は私に料理をさせてくれないのか」

 アンジェラです。

 子ども達も3歳になって幸せな日々を送っています。

 ただ不満もあって……


――――――ベリアーノ市・レム家屋敷――――――

◇アンジェラ視点


 今日は家で仕事をする日。

 夫は『リモートワークか』と言っていたが異世界の言葉というのはわからないものも多い。

 私は学校で教師をしていて生徒の成績を付けているわけだ。


 窓の外を見ると娘達が遊んでいるのが見えた。

 その傍ではメイシーが洗濯物を干している。

 時々、次女のリリィが手伝いに行くが竿まで背が届かないのでメイシーに抱きかかえてもらっていた。


 うん、とても幸せな光景だ。

 だが……


「不満があるのよね」


「うえっ!?アンジェラってば急にどうしたのさ?」


 たままたそばを通りかかったリゼットが私のつぶやきを拾い驚く。


「いや、だってね。あの子たちは私の手料理というものを食べたことが無いのよ?それっておかしくない?」


「えーと……」


 我が家では輪番制で家事を行っているが昔から私が食事担当になる事が無い。

 子どもが生まれる前は時々隙をついて台所に立てていたが今では完全にメイシーとリゼット、それか夫が台所に立つことが徹底されている。


 全員に何かしらの用事がある時こそ私の出番だと思いきやそういう時は弟子であるティニアがやってきたりメイシーの妹さんが料理をしに来る。

 つまり、私を徹底的に台所から排除しているのだ。

 これは由々しき事態。


「アンジェラさ……昔、ボクの家に住んいでた時何やったか覚えている?」


「……あれよね、鍋が爆発したことがあるわね」


 そしてその後、台所は出禁状態になった。


「という事は……どういう事かわかるよね?」


「……鍋の性能が悪かったという事ね」


「違うよ!何処をどうしたら鍋が爆発するのさ!ていうか鍋の性能って何!?」


 そうは言うが爆発する方が悪い。

 私は普通に料理しただけなのに……


「またアンジェラが料理したいと駄々をこねているのですか……」


 外から戻ってきたメイシーが呆れた顔で私を見る。


「何よ、駄々こねるって……子どもみたいに扱わないで!私だって料理くらいできるわ」


「いいですか、アンジェラ。残念ながら天上の女神様はあなたに料理のセンスを与えなかったのです……」


 メイシーの口から衝撃の一言が飛び出した。


「メ、メイシー!そんなバッサリ!!?」


「センスが無い?確かにあなた達に比べたら劣る気はするけど……けど!!」


「例を挙げましょう。まずサラダは液体ではありません。スープというものは固体化しません。ですがあなたはそれをやってのけてしまうのです」


「いや、それはむしろセンスがあるって言うのでは?」


「ついでに言うと料理を食べた後で寝込む人が出るのは異常です。ナナシさんがあなたの料理を食べた後、1日寝込んだことがあったでしょう?肉を焼くだけなのになぜか半液体化していてレタスが突き刺さった謎の料理。あの人が全部食べてくれなかったら私達も倒れている所でした」


「あの料理は狂気の塊だったよね……あれモンスターに投げたら武器にならないかな?」


 言われてみればそんな事があった。

 あの時はてっきり疲れがたまっていたものと思っていたが……

 ていうかリゼットの言う事がかなりひどい気がする。


「そんな料理ばかり作るんですよ?それを食べて子ども達が中毒を起こしたらどうするのですか?」


 中毒だなんて人聞きが悪い。


「ううっ、年上ぶって……」


「実際私が3人の中では一番の年長者です。私もリゼットも親として、家族としてあなたの料理を止める義務があります。あなたはあなたの得意分野で家に貢献してください」


「ううっ……」


 言いたいことはわからなくもない。


「だけど、だけどぉ……母親として子ども達に手料理を振舞ってあげたいという願いもあるのよぉ……離乳食だって作らせて貰ってないしさぁ……そんなの悲しすぎるのよ……」


「…………仕方ないですね」


「え、メイシー。まさか?」


 リゼットが何やら深刻そうな表情だ。


「今日のお昼は3人で作りましょう。勿論、私達が常に見張りながら、ということです」


「うぇぇぇっ!?メイシー!?」


「だって、あんな風に言われたら私だって心が少し動きますよ……」


 流石メイシー、よくわかってくれている。


「ありがとうね、お姉さん」


「こういう時だけ年下ぶらないでください……」


 こうして私達は3人してお昼ご飯を作る事になったのだが……





「ちょっと待って!アンジェラ、ポテトを湯がくのに必要なのは鉄板じゃなくてお鍋だから!」


「何でポテトサラダが液状化するんですか!?今ずっと見ていたのに何が起きたって言うんですか!?ちょっと一度病院で診てもらった方がいいかもしれません!!!」


 何故液状化するかなんて私の方が聞きたい。

 結局、私が作ったポテトサラダは夫が毒見した上で少量のスープとして出されてそこそこ好評だったが……違う!それスープじゃないから、サラダだから!!


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