第1話 「未来書」
初めて小説を書きます!
しかも推理ものなので上手くできるか分かりませんが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!
伏線等を沢山用意したので、考察しながら見てくれたら本当に喜びます!
よろしければ読み終わったあとに評価や感想等をお願い致します!より精進するために皆さんの力をお貸しいただけると励みになります!
「昔々 ある所に若い夫婦が住んでいました。それはそれは仲が良く 子供にも恵まれ 幸せな生活を送っていました━━━━━━━━
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2日に一度は思い出す。小学生の頃、母さんに読んでもらったあの昔話。でも、まったく続きが思い出せない。何度も読んでもらった気もするし、1度しか読んでもらってないような気もする。
「らーーーいーーーきーーー!!!」
耳を劈く声で俺の家の外から叫んでいるのは、10年来の親友 御影憂夜。放課後、俺を家から出すのはいつだってあいつの仕事だ。
「また家で受験勉強か?たまには休めよ」
「は?俺達は高校三年生だぞ?お前は休みすぎだ 憂夜」
バカにしたような顔で、真面目だね〜と一言吐いた後 こう続けた。
「ところで、お前の母ちゃん元気にしてるのか?」
「…?なんでお前が気にするんだ」
憂夜は少し考えた後に言葉を紡ぐ。
「前 来輝の母ちゃんが大分青ざめた顔で外をふらついてたからよ 心配になった」
確かにそうだ。最近になってどんどん母さんの元気がなくなっている。大丈夫?の一言すら言ってはいないのだが……
しかし、それよりも心配なことが俺にはあった。
「お前の方こそ大丈夫なのか?お前を引き取ってくれた あのおじいちゃんとおばあちゃん もう80超えたろ?」
憂夜の目から光が消えた。
「じいちゃんはもう長くないって……ばあちゃんも…もうじいちゃんの顔も俺の顔も忘れちまったよ」
1年ほど状況を聞いていなかったのだが、まさかそこまでとは思わなかった。
憂夜は幼い頃に不慮の事故で両親を失っており、血の繋がった祖父祖母もとっくに亡くなっていた。そこで引き取ってくれたのが 今の憂夜のおじいちゃんおばあちゃん。俺にも優しくしてくれたから かなり記憶に残っている。
あの2人が死んだら…憂夜は……
「…あーなしなし!!この暗い雰囲気なし!嫌いなんだよこういう空気!!」
俺の心の声でも聞こえていたかのように、憂夜はこの空気を切り裂いた。
その後は談笑しながら2人の行きつけのカフェへ向かった。
「そこでさ!急に歴代ヒーローが集まってさ!あれは激アツだった!!」
憂夜は特撮ヒーローものが好きだ。俺は興味ないので、いつも流して聞いている。おー、そうなんだ、すごいすごい、と。
そんないつもの会話の中で、急に憂夜は顔色を変え、俺に聞いた。
「そうだ来輝。お前最近テレビ見てるか?」
「おー、すごいすご……あ、え?いや?まったく。受験勉強あるし」
「あ、お前流して聞いてたな?」
違うんだと訂正したあと、何かあったのかと聞くと、すぐに返した。
「俺の両親も、お前の父親も“不慮の事故”で亡くなっただろ?」
そうだ。俺の父親もこいつの両親も“不慮の事故”という、言葉一つで収められたんだ。死因も何も分かっていないのに。俺の母さんも、頑なに父さんの事について話そうとしない。
「最近またそれが多発してるんだ」
「……“それ”…?」
「あぁ、“不慮の事故”としか説明しない事件がな」
そして憂夜は1つ気になることを言った。
「そしてその事件の被害者は全て、子供を持つ親だったんだよ。被害を受けた全ての家庭において、父親母親、両方死んでる」
憂夜の目がこっちを向いた。
「…お前のとこ…父親だけだよな……」
一瞬で憂夜の言いたいことがわかった。
「俺の母さんが犯人だとでも言いたそうだな…?」
「…!いや違うんだよ!寧ろお前は喜ぶべきだ!血の繋がった親が生きてるだけで万々歳だろって!」
それは確かにそうだ。でも気になってしまった。母さんがその一連の事件の犯人じゃないとしても、何かを知っている気がした。
少し淀んだ空気のまま、俺たちは今日の別れを告げた。
「じゃあな来輝、また明日 学校で」
手だけを振り返し、重たい足を上げ家路に着く。やけに重たかった。母さんの顔を見るのが急に怖くなった。
いつもは3秒で開ける家の扉さえも、今日は15秒かかった。
「あらおかえり」
いつもと同じ優しい声だ。少し安心するとともに、余計に緊張感が増し唾を飲んだが、声は出た。
「母さん…父さんってなんで死んだんだっけ…」
随分とストレートに聞いてしまった。もう少し探りながら聞こうと思ったのに。
「知ってたらあなたに“不慮の事故”なんて曖昧な言葉で伝えないわよ」
返答が早かった。聞いたことを後悔する暇もない。
「…じゃあ母さんは本当に何も知らないの?」
「知らない。知らないの。」
違和感を覚えながらも、俺はあの事についても聞いてしまった。
「…あとさ、俺が小さい頃よく読んでもらってたあの昔話…内容忘れちゃってさ あったら読ませて欲しいんだけど。」
「もうないわよ。捨てた。」
また考える隙をくれなかった。そのまま少し脅えた顔で続ける。
「駄目よ。思い出しちゃ駄目。絶対に」
もう、言葉が出てこなかった。この日はこれ以上母さんと一言も喋らずに夜を越した。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
その会話だけはいつも通りこなし、俺は学校へ向かう。憂夜は始業ギリギリに来るので、登校は一緒ではない。
学校へ着くと、全ての方向から同じ単語が聞こえてきた。
未来書
なんだ未来書って。そういうドラマでも始まったのか。
憂夜の次によく話す竹林の元へ聞きに行く。
「お、来輝 お前未来書知らないのか?今テレビでめちゃくちゃ話題になってんだぜ!」
「詳しく聞かせてくれ」
竹林によると、その“未来書”とやらはどこの図書室、図書館にも普通の本に紛れて存在するらしく、本を手に取った人によって内容が変わり、その人の未来を物語調で示してくれる、というのだ。
「そんな都合のいい話、あるわけないだろ」
つまらない男だ、というのは分かっているが言ってしまった。
「夢がないな〜来輝は」
案の定言われてしまった。やはり俺には夢がないのだろうか……
と、そこで教室の扉が開く。
「おっは〜」
気の抜けた声で憂夜が入ってきた。未来書の話題で持ち切りであることをすぐに理解し、話に入ってきた。
「ついに未来書の話題が広まったか!」
…?昔から知っているような言い草だ。
「知ってたのか?」
「ん?あぁ、うん。結構昔からある都市伝説だぜ」
「え、そうなの!!」
1番驚いていたのは竹林だ。そして竹林は続けるように言う。
「そうだ来輝!憂夜!今日こいつらと一緒に図書室行って未来書探しに行こうって話してんだけどさ!お前らも来ない?」
“こいつら”とは、竹林といつも一緒にいる樋田、湯川、津島、吉岡の4人のことだ。こいつらは昔、竹林に命を救われたことがある?らしい。
「どうする?来る?」
夢がない俺にも、少し楽しそうだな…と思う心があったことに驚いた。
いつ行くんだ?と聞くと、今日の放課後と、明日の朝、そして放課後の3パートに分けて探すのだという。
「今日の放課後は難しいなぁ…憂夜は?」
「俺は明日の朝が難しいや。来輝が今日無理らしいから、俺たちは明日の放課後に参加させてもらうとするよ」
了解だ!と言い放ち、彼らは席に戻る。今日の放課後の結果は気になるので
「今日の調査で何かあったら教えてくれよ!」
とだけ言っておいた。夢がある男になれたのでなかろうか。
気だるい授業も終わりに近づいた頃、透き通った声が俺に響く。水川雫、クラスの男子から人気がある女子だ。
「さっき未来書について話してたよね?詳しく聞かせてよ!」
よりによってなんで俺なんだ、と思いながらも少し話す。
「実は私ね…昔未来書を読んだことがあるの」
「え、ほんと??」
いたずらな笑顔を浮かべ、ほんとだと思う?と聞いてくる。
俺は夢のある男になるとさっき決めたところだ。ちゃんと答えねば。
「本当であって欲しいな」
ふふ、と笑われただけであったが、彼女は読んだのはほんとだと言う。
「へぇ、内容は教えてくれないの?」
「うーん……またいつか!」
はぐらかされた気もする。でもまあいいや。あまり気にしても仕方がない、と割り切り彼女と別れる。
今日は母さんが家にいないので、憂夜を待たずして家に帰り、家事をする。明日のお弁当、おかず何入れよう。
次の日の朝、竹林と樋田の姿がなかった。いつもあの5人は朝早くに来て席に座っているので、とても違和感のある景色だった。
「あれ、竹林と樋田は?」
と聞くと、湯川、津島、吉岡の3人の顔が強ばった。
「意味が………分からねぇ……」
「なんでなんだ………なんで……」
「俺…の……せいじゃない………」
3人が口々に言う。確実に何かあったんだ。聞かなければいけない。
「おい!どうした!竹林と樋田に何かあったのか!?」
湯川が口を開く。
「昨日……見つけちまったんだよ……」
すぐに察しがついたが…一応聞いてみる。
「……何をだ…?」
「“未来書”だよ………よりにもよって竹林が……」
答えは予想通りだった。未来書に書いてあった内容はなんだったのか。
「内容を、できるだけ細かく教えてくれ」
湯川は昨日あったことを話し始めた。
〜続く〜
第1話を読んでくれてありがとうございます!1話は調子に乗って字数が多いだけなので、次回から読みやすい文量に調節します!申し訳ないです!!
最後に意見感想等を書いていただけると飛んで喜びます!
ブクマなんてしてくれようもんなら、スカイツリー飛び越えます!!
また次回からもよろしくお願いします!!!