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アナザーワールドシェフ  作者: しゃむしぇる
第一章 龍の料理人

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第九十一話

九十一話~


「ん……もう朝か。」


 結局カミル達は夜まで帰ってこなかった。私が寝た後に帰ってきてるかもしれないが……。あの手紙を見たときの表情が見れなくて少し残念だ。


 私が体を起こすと、隣で寝ていたノノが重たい瞼をゆっくりと開け、大きくあくびをしながら体を起こした。


「ふぁ……お師様……おはようございましゅ…………。」


 瞼をごしごしと手で擦りながらノノは私に朝の挨拶をしてきた。


「あぁ、おはよう。眠かったらまだ寝てても良いんだぞ?」


「ノノは大丈夫です!!」


「そうか……なら良いんだが。」


 お互いの身なりを整えて部屋を出ようと、扉に手を掛けたときだった。


 扉を開けた途端に、ゴン……と鈍い音が下から響いてきた。


「あだっ!?」


 何事かと思い下を見てみるとそこには昨日喧嘩をした三人が額を床に擦り付けていた。どうやら扉がカミルの頭頂部に直撃してしまったようである。


「………………。反省したか?」


「「「反省しました!!」」」


 私の問いかけに三人は声を揃えて答えた。


「飯抜きはもう勘弁なのじゃ~。辛すぎるのじゃ~っ。」


「ホント一日食べないってこんな苦行なのね……思い知ったわ。」


「もう喧嘩しない……だからご飯食べたいの。」


 三人は今にも泣きそうな顔で私にすがり付いてくる。余程昨日の()()()()という罰が効いたらしい。

 まぁここまで反省している姿を見て許さない……と言うほど私は鬼ではない。サクッと朝食を作るとしようか。


「ほら、そんなとこに座ってないで早く行くぞ。軽い朝食を作ってあげるよ。」


「感謝するのじゃ~!!」


「やった!やった!もうお腹ぺっこぺこだったのよ~。」


「念願のご飯っ!!」


 三人の先頭に立ち、厨房へと歩みを進めていると私の隣を歩くノノがポツリとこぼした。


「えへへ……やっぱりお師様は優しいです。」


「そうか?」


「はいっ!!」


 満面の笑みでノノはそう答えた。そんなに優しく見えるだろうか……日本にいたときは優しいなんて言われたことはなかったから、いまいち客観的に見た自分の印象に実感がわかない。

 だけど、いざこうして真っ正直から優しいって言われると少しむず痒い気持ちになるな。


 少し恥ずかしい気持ちになり、自分の頬をポリポリと指で掻いていると、後ろからこそこそと声が聞こえてきた。


「み、ミノルが照れておるのじゃ!!」


「私ミノルが恥ずかしがってる姿なんて初めて見たかもしれないわ~。案外可愛いじゃない?ねぇ?」


「うん……。」


「…………またご飯抜きにされたいのか?ん?」


「そ、それはホントに嫌なのじゃ!!すまなかったのじゃ~!!」


 焦ったようにカミル達はまた私にすがり付いてくる。ほんの冗談のつもりだったが、彼女たちにとっては冗談では済まないことらしい。

 すがり付いてくるカミル達のことをからかいながら私は厨房へと歩みを進めるのだった。


 そして厨房に入った私は早速朝食の準備を始めた。


「まずはケチャップライスを炊こう。」


 今日の朝食はオムライスにする。ケチャップライスのケチャップはトマトのような野菜を裏ごして煮詰め、塩などで味を整えた簡易的なものだが……十分だろう。卵はピッピの卵……もといコカトリスの卵を使わせてもらう。


「バターで米と鶏肉を炒めて……十分に米が熱くなったら野菜からとったコンソメスープを注ぐ。」


 そして後はオーブンで炊きあげるだけだ。目安は150℃で30分位……半分の15分位で一度取り出してかき混ぜてあげると炊き上がりにムラがなくなる。


「これで良し。」


 後は炊き上がるまで待つだけだ。台に背を預け、ふぅ……と一つ息を吐き出していると、私のもとにノノが駆け寄ってきた。


「お師様!!さっきの赤いどろどろと、お水?は何ですか?」


「さっきの赤いのは……この野菜を使って作ったケチャップって調味料だ。それでお水……ってのは幾つかの野菜を煮込んで抽出した物、コンソメスープってやつだ。」


 私がノノの質問に答えていると、ノノは私の言葉を一言一句逃さないように本に書き込んでいる。とても良い心がけだ。


「まぁこの辺の作り方も後々教えることになるだろうから……今はこんなものがあるんだって位の認識で大丈夫だ。」


「はい!!」


 ノノの質問に答えていると、15分ほどが経過し丁度かき混ぜ時になる。


「ノノ、ちょっと下がっててくれ。今から熱いの出すからな。」


「はいです!!」


 熱いものを扱うからノノには下がっていてもらい、私はオーブンからケチャップライスが入った鍋を取り出した。そして中身を軽くかき混ぜ再びオーブンの中へとしまう。


「さ、今のうちにオムレツの卵液を準備するか。」


 オムレツの卵液は卵に牛乳を混ぜるだけで良い。あればパルメザンチーズとかを入れても美味しいんだが……今のところパルメザンチーズは作れてないからな。

 ここで注意すべきなのは牛乳を入れすぎないことだ。シャバシャバになってしまってはオムレツを作る難易度が跳ね上がる。慣れないうちは、牛乳等はあまり多くいれない方がいいだろう。


「よし丁度ケチャップライスも炊き上がりそうだ。」


 それじゃバチっとノノの前でオムレツを巻くとするか。久しぶりだから鈍ってないと良いんだけどな。

12月7日に次話を更新させていただきます。詳しいことは活動報告にてご覧下さい。

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