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アナザーワールドシェフ  作者: しゃむしぇる
第一章 龍の料理人

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第三十一話

三十一話目ですね~。

 昨日肉を買った肉屋へと向かっている途中、私はある店の前で歩みを止めた。そして私が歩みを止めると二人も足を止めた。


「なんじゃミノル、この店に何か用か?」


「あぁ、ちょっとな。多分ここでしか買えないものがある。」


 お店の中に入ろうとしたとき、突然ヴェルに後ろから声をかけられた。


「……言ってなかったけど、ちなみに私パンって嫌いよ?」


 露骨に嫌そうな表情を浮かべながらヴェルは言った。

 そう、今から入ろうとしていたのはこの世界のパン屋だったのだ。


「ちなみに理由を聞いても?」


「だって~あんな固くてパッサパサなの美味しくないもの。」


「……なるほどな。」


 どうやらこの世界のパンはヴェル曰く固くてパサパサしているらしい。柔らかいパンがないのは残念だが、生憎ここにはパンそのものを買いに来たわけではないから、一旦誤解を解こうか。


「大丈夫、ここにはパンを買いに来たわけじゃない。……厳密にいえばパンには変わりないが。」


 誤解を解くためにヴェルにそう話し、私は店の扉を開ける。すると、パンが並べられているショーケースのようなものの後ろからひどく怯えた魔族の女性が顔を出した。


「ひっ……あ、あの、な、何か御用でしょうか?」


「パンくずをもらいたいんだが、置いているか?」


「ぱ、パンくず……ですか?」


「あぁ、大量にほしい。」


「少々お待ちくださいっ!!」


 バタバタと慌てて店員の女性は店の奥へと消えた。そして数分後……。


「お待たせしましたっ!!こ、こちらでよろしいですか?」


 戻ってきた彼女は袋いっぱいに詰まったパンくずを携えていた。


「あぁ、問題ない。いくらだ?」


「こ、こんなパンくずなんかでお金なんてもらえませんっ!!どうぞ持って行ってくださいっ。」


「え、いや、でも……。」


「持って行ってください!!」


 その女性の気迫に押され、私は渋々それを受け取り店を後にした。


「無償で物をもらえるとは得をしたではないかミノルよ。」


「ん~、まぁな。」


 多分早く出て行ってほしかっただけだと思うけど。まぁ結果的にはこれが手に入ったからいっか。手に入らないよりかは遥かに良い結果だ。


「にしても、ミノルそんなパンのくずをどうするつもりなのよ。」


「これがまたいろんなことに使えるんだ。特に料理にはな……。」


「へぇ~……そうなんだ。」


 納得したようにヴェルは頷く。


「それで次はどこへ向かうのじゃ?」


「次は昨日寄った肉屋だ。」


「おぉ!!ではまたサーロインとやらでも買うのかの?あの肉は美味かったのじゃ~」


 昨日食べたサーロインステーキを思い出し目を輝かせるカミルだったが、生憎今回はサーロインのような高級な肉を買うつもりはない。


「今日は昨日みたいに高級なのは買わないぞ?」


「な、なん……じゃと?」


 予想外の私の返答にカミルは驚愕の表情を浮かべながらがっくりと肩を落とす。そして私の言葉に驚いたのはカミルだけではなかった。


「え、なんで?普通高級なものの方が美味しいんじゃないの?」


「普通はその通りだ。だが、高級な肉を使って美味しい料理を作るのは誰だってできることだ。だって肉そのものが美味しいからな。」


 そう、美味しい肉さえ使えば素人でだって美味しいものが作れてしまう。だから私は料理人としての腕を見せるためにあえて今回は高級なものは一切使わない。だが、それでいて最高に美味しいものを作る。


「さ、着いたな。」


 そんな話をしていたらあっという間に昨日訪ねた肉屋についてしまった。そして肉屋の前で立ち止まると中から昨日肉を勧めてくれたあの女性の店主が出てきた。


「か、カミル様にヴェル様まで……よ、ようこそいらっしゃいました!!本日は何かお探しですかっ?」


 少し緊張しているようだが昨日と同じように元気に私たちの接客をしてくれる彼女。正直客側としてはとても心地が良い気分になるからとても良い接客だと思う。


「今日は牛もも肉と豚バラ肉を探しに来たんだ。それで……ちょっと質問なんだがひき肉とかって置いてないよな?」


「ひき肉?初めて聞くお肉の名前ですね~……残念ですけどここでは扱ってません。でも牛さんのもも肉と豚さんのバラ肉だったら扱ってますよ?」


「そうか、なら牛もも肉をブロックで二つと、豚バラのブロックを二枚……で、牛もも肉の方はなるべく脂が少ないやつで頼む。」


「わっかりました~……。それではちょっとおまちくださいね~。」


 こちらにぺこりと一つお辞儀をして彼女は店の奥へと消えた。そして彼女がいなくなると、私の隣にいたヴェルが話しかけてきた。


「買うお肉が決まっていたってことはもう作る料理は決まったの?」


「おおかたな。」


 ひき肉がなかったのは残念だったが……()()()()()()()()()()幸い私にはその道具がある。日本にいたときに買っておいて本当に良かった。自分で買った道具だからインベントリの中に最初から入っていたんだ。

 ただ量が量だから大変な作業になるのは間違いない。だが、美味しいものを作るためには仕方がないな。


「お待たせしました~!!えっと、こちらが一角牛のもも肉のブロックですね。それでこちらが黒金豚のバラ肉二枚になります!!ご要望通りもも肉の方は脂肪が少ないものをご用意しました。」


「ん、ありがとう。」


 一角牛に黒金豚か……どんな見た目なのか名前から想像できるな。要望通りもも肉の脂肪は少ない。その反面バラ肉にはほどほどに脂肪がついている。いい塩梅だ。


「これでいくらだ?」


「金貨3枚ですっ。」


 金貨3枚か、まだカミルにもらったポケットマネーから支払えるな。インベントリからお金が入った袋を取り出してそこから金貨3枚を支払った。


「はいっ確かに金貨3枚いただきました!!他には何か入り用の物はございませんか?」


「いや、大丈夫だ。これだけあれば問題ない。」


「わかりました~……。あ、あの、それとはまた別のことなんですけど……さっき言ってた()()()ってものがどんなものなのか教えてもらえたりってします?」


 おずおずとしながら肉屋の店主の女性は聞いてきた。別に隠すほどのことでもないし教えてあげようか。それに次回来た時から用意してもらえたのならこちらとしても助かる。

 

「ひき肉っていうのはな………。」


 私はひき肉というものがどんなものなのか、そしてそれがどうやって作られるのかを彼女に教えた。すると、とても興味深そうに彼女は話に聞き入っていた。これはもしかすると本当に次回用意していてくれるのかもしれないな。

 彼女にひき肉のことを教えた後、私たちは店を後にしたのだった。

それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~

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