第二十六話
二十六話~……もう少しで30話です!
カミルが書庫を後にすると、中にいる人間が私しかいなくなったため辺りがシン……と静まりかえった。
「さて……カミルが集めてくれた本も気になるが、先ずはやはりこれだろう。」
カミルに集めてもらった本を机の上に置き、私は例の日本語で書いてある本を手に取り、椅子に腰かけた。
「異世界アルフィニア……著者の名前は書いてない。」
普通著者の名前が本には記載されているものだが、この本にはそれらしきものは記載されていない。
不思議に思いながらも表紙をめくり1ページ目を開いてみると、そこにはこう書いてあった。
『この本は僕のようにこの世界に転移させられた人に、この世界がいったい何なのかを知ってもらうために書いたよ。本を書くのは初めてだから、拙いのは容認してほしいな。』
「…………まさかとは思っていたが、やはりこれは私以外にこの世界に転移させられた人が書いたもののようだな。」
そして私はさらにページを捲る。
『さて、これを読んでいる君はいったいどんな方法でこの世界に無理矢理転移させられたのかな?僕の場合は招待状が届いたけど、それ以外のパターン?もし、僕と同じなら50pに飛んでね。違うパターンならそのまま読んで良いよ。』
「この本の著者も招待状を貰ってこっちに来たのか。私と全く同じパターンだな。」
この本には同じパターンなら50pに飛べと書いてあるが……
ペラペラとページを捲りそして50p目にたどり着くと、そこにはページ一枚を丸々使ってあるものが書いてあった。
「……!!これはあのときのっ!!」
あの時、招待状と書かれた手紙の中に入っていた物に描かれていた魔法陣と全く同じものがそこには描いてあった。
そしてそのとなりのページには、まるで私の思考を読んだようにこんな言葉が書いてある。
『驚いた?多分、コレが招待状の中に入ってたんだよね?だとしたら君はこの異世界アルフィニアの何者かに意図的に呼び出されたってことで間違いないよ。』
「なるほど……な。」
ということは私もこの世界の誰かによって呼び出されたって認識で間違いないようだ。
……だとすればいったい誰が?何の目的で私を呼んだんだ?別に私なんてただ料理ができるだけの凡人なんだがな。
さらにページを捲ると……。
『ちなみにさっきの魔法陣はまだ未完成の物らしいから、稀に誤作動を起こして変なとこに飛ばされることもあるらしいけど……もし、コレを読んでいる人がそれだったら……うん、ドンマイ。』
ふむ、ということは私のもとに届いたあれは誤作動を起こしたってことか。
「まったく……ついてなかったんだな。」
自分の不幸を呪いたい。あの時カミルが来てくれなかったら間違いなく死んでたんだぞ?
私を呼び出したやつに一言文句を言ってやりたい……が。まぁ良い。今はそれよりも大事なことがわかったからな。
この本を読んだ限り、私以外にもあの魔法陣によってこの世界に呼び出された人がいるかもしれない。現にこの著者は間違いなくそれだしな。
もし私以外に地球から呼び出されたって人がいれば会ってみたい。色々と情報を共有したいな。
「さてこの続きは……。」
さらに一枚ページを捲る。すると、そこには陽気な言葉で書いてあるが……十分に非情な現実を突きつける文章が書いてあった。
『突然こんな世界に呼び出されて、帰りたい……って思う人もいるかもしれないけど~、僕が長い時間をかけて調べてみても元の世界に変える方法は見つからなかったよ。だから今まで元の世界で過ごしたことは全部忘れて、この世界で生き抜くことを考えた方が良いんじゃないかな?ま、僕から教えられることはこのぐらいだよ。招待状を貰っても右も左もわかんないって人は50pより前に目を通してみてね。それじゃコレを読んだ人が有意義な生活を送れるよう祈っておくね。』
それ以降のページは全て白紙になっている。私は本を閉じ、そっと机の上に置いた。
「…………そうか。帰れないのか……。」
まぁ、帰っても出迎えてくれる家族も友人もいないが……いざ、こうして帰れないという事実を突き付けられると、なかなか受け入れられないものがある。
「ふぅ……さてどうしたものかな。」
これからの生活は一先ずカミルと共に過ごすことは確約されているとして……私をこの世界に呼び出した張本人を探した方がいいのだろうか。
「後でカミルと相談してみるか。」
カミルは私が違う世界から来たってことを知っている唯一の存在だし、何より今は私の雇用主だからな。こういった生活に関わりそうなことは相談した方が良いだろう。
「この本は大事にしまっておこう。」
インベントリを開き、その本をしまう。これでいつでも取り出せる。
この書庫の中に保管しておくと後で見付けれなくなりそうだからな。
「さてさて……それじゃ本題に入るとしようかな。」
まず最初は……これから日常生活で良く目にしそうな魔族の言語から……。
一番目にするであろう魔族の言語から学ぼうと思い、本に手を伸ばしたが、私はあることをすっかり忘れていた。
「しまった……これどれがどの言葉の本なのかカミルに聞くのを忘れていた。」
不味いぞ……。これは不味い。カミルに聞こうにも、彼女はもう深い眠りについていることだろう。
「……はっ!?そ、そうだ……こういうときの鑑定じゃないか。」
本に向かって鑑定を使うと何の本か一発で理解することができた。
「よし、コレが魔族の本だな。」
さて、長い異国語勉強のお時間だ。せめて単純な言葉でも書けるようにはならないとな。
そしてその後静かな書庫にはページを捲る音だけが響いた。
それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~




