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アナザーワールドシェフ  作者: しゃむしぇる
第三章 魔族と人間と
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第百八十三話

百八十三話~……昨日は更新できず、すみません。


「アベルっ!!ちょっとやりすぎじゃない!?」


 戻ってきたアベルにノアが声を荒げて言った。


「でも~、相手を戦闘不能にさせるには一番手っ取り早くて、怪我もない方法だったと思うよ?」


「それでもやりすぎっ!!その技……えっと、何だっけ?鎧壊し?禁止っ!!」


「え~!?せっかく考えたのに~っ!!」


 ノアから通称鎧壊しという持ち技を禁止されたことに頬を膨らませるアベル。まぁ、誰しも羞恥心というものはあるからな。外傷は確かに無傷だろうが、おそらく……心の方に深い傷を負ってしまっただろう。


 毛布を全身に被ってしくしくと泣いている王国騎士の女性をゼバスとノアがなだめている。

 この光景もなかなかシュールなものだ。


 そして膨れっ面になったアベルが私の方に歩いてきた。


「ね~ね~ミノル!!聞いてよ~、ノアにあの技もう使うなって言われちゃった~。」


「まぁ……仕方がないな。考え出した中では確かに有効な手段だったが……ちょっと相手への配慮が足りなかったな。」


 そうなだめるとアベルは反論するように言ってきた。


「だってあの人間が女の子なんてわかんなかったんだもん!!すごい厳つい仮面被ってたし?ミノルだってわかんなかったでしょ!?」


「う、うんまぁわからなかったな。」


 アベルの言う通り、全身鎧に包まれてたから顔がわからなかったし……さらには声がくぐもってて男性か女性かもわからなかった。

 だから彼女の言い分はわからなくもない。私自身分からなかったしな。


「でしょ!?」


「だが……男女関係なく、とりあえず裸に引ん剝くってのは良くないと思うぞ?」


 男性であれ女性であれ、人前で裸をさらすことに免疫がある人は少ないだろう。


「でも手加減間違えなかったらきっと下着だけ残るはずなんだよ!!」


「そういう問題じゃない。」


「あぅ……。」


 私はこつんとアベルのおでこに軽くチョップする。


「ま、それでも相手を傷つけずに降伏させたのは大きな成果だけどな。」


 当てていた手で私はアベルの頭を撫でた。そういえば今の今までアベルの頭を撫でたことがなかったな。こう……触り心地がもふもふのノノとはまた違ってサラサラの髪の感触がまた……。


 なでなでと感触を確かめていると……。


「あ、あのミノル?」


「ん?……ハッ!?す、すまないついノノとおんなじ癖で……。」


「うぅん、大丈夫だよ~。こうやって頭撫でられたの初めてだったから、ちょっと驚いちゃっただけ。でも意外と気持ちいいんだね。」


 あはは~と少し顔を赤らめながらアベルは言った。


 どうやら不快ではなかったらしい……よかった。

 ほっと胸をなでおろしていると、私のもとにノノがやってきて、こちらにずいっと頭を差し出してきた。


「の、ノノ?」


「アベルさんだけずるいです!!お師様、ノノのこともなでなでしてください!!」


「えぇ!?」


 撫でられているアベルに嫉妬したのか、こちらに頭を差し出してきたノノは言った。

 そんな姿を見て、私もアベルも目をぱちくりとさせていたのだが……。突然、アベルがにんまりと口角をつり上げた。


「んふふ~、ダメだよノノちゃ~ん?今回ボクは活躍したから撫でてもらったんだよ?」


 ポフポフとノノの頭に手を置きながらアベルは言った。


「あぅ……アベルさんに撫でてもらいたいんじゃないんです!!お師様が良いんです!!」


 アベルの手を振り払いながらノノは主張した。ノノの発言に、

アベルはにんまりと顔を歪めながら、ノノの頭の上でピコピコと忙しなく動く耳元でボソリと何かを呟いた。


「……………………?」


「~~~ッ!?」


 あまりに小さい声だったから私には何を言っているのか聞こえなかったが……アベルの言葉を聞いたノノは、一瞬ビクッと体を震わせた。

 その後ノノは今まで私達に見せたことがないほど怒りに満ちた表情を浮かべ、アベルのことを睨み付けた。


「あはっ♪ノノちゃんの怒った顔……初めて見たかも?そんな表情もできるんだ~?」


「…………アベルさん本気……なんですか?」


「本気も本気……ボクは欲しいと思ったものは~()()手に入れるよ?」


「…………わかりました。じゃあ、今からアベルさんはノノの()です。」


「いいねぇ~ボクも燃えてきちゃった。悪いけど……負けないよ?」


「望むところです。」


 バチバチと二人の間で火花が散る。喧嘩……?という訳でもないようだが。

 いったい何が……?


 火花を散らす二人の傍らで、二人が何をどうしてそういう風に敵意むき出しにして睨み合っているのかわからずに、私はただ呆然とそんな二人の姿を眺めることしかできなかった。

それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~

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