第百六十一話
昨日は頭が痛くて執筆できませんでした。すみませんm(__)m
休載の報告は活動報告にて行っておりますので、今日の更新が無い!?と疑問に思った方は活動報告の方を覗いてくれれば幸いです。
そして次の日……
「さ、それじゃ今日は二人に野菜を洗うのは任せるからな?」
昨日言った通り、私はアベルとノアに野菜の洗いは全て一任することにした。
もちろん、野菜の種類は昨日とほぼ同じだ。
「任せてくださいっ!!」
「昨日頭にこれでもか~って位詰め込んだからね。完璧だよ。」
「期待してる。じゃあ……任せたぞ?」
二人に野菜を洗うのを任せて、私とノノは他の調理に取りかかる。
私達が作業を始めると共に、アベルとノアも野菜を洗い始めた。昨日よりはるかに手際は良い。しっかりと勉強してきた証が現れてるな。
そして、難なく全ての野菜を洗い終えた彼女達は、それを私のもとへと運んできた。
「終わったよミノル!!」
「ど、どうですか?」
二人が洗った野菜を一つ一つ確認する、葉野菜はしっかりと付け根の土も洗い落とされているし、根菜もしっかり土を洗い落としている。
文句なしだな。
「うん、バッチリだ。よく頑張ったな。」
「あはっ!!やったぁ~。」
「頑張ったかいがあったねアベル!!」
ハイタッチを交わす二人。
さて、頑張った御褒美をあげないといけないな。
私はインベントリから縦長の箱を二つ取り出して、二人の前に置いた。
「これ何?」
「頑張った二人への御褒美だ。まぁ開けてみてくれ。」
「ふわぁ~御褒美だってアベル!!早く開けよう?」
「うん!!」
ワクワクしながら二人はその箱を開けた。その中には、最初ノノにあげた包丁セットとまったく同じものが入っていた。
二人が協力してくれると分かったときに、以前ノノの包丁を作ってもらった鍛冶屋にお願いしておいたのだ。
「これ……ミノルとノノちゃんがいつも使ってるやつ……。」
「その通り。まぁ……私からの餞別ってやつだな。」
「あっ!!ちゃんと私の名前が彫ってあります!!」
「ボクのにもある~。」
二人に渡された包丁にはしっかりと、アベル……そしてノアと二人の名前が刻んである。
「扱い方はこれからじっくりと教えてやる。あと……これはノノにも言ったんだが……。」
私はノノに包丁を授けたときと同じ事をアベルとノアの二人にも告げた。
自分の包丁は自分で管理し、他の誰にも触らせないこと。たとえそれが身内であっても触らせてはいけないと。言って聞かせた。
「包丁は料理人の命だ。自分の命を他人にむやみに触らせたりはしないだろ?」
二人は私の言葉に頷く。
ちなみにどうして私がこういう風に包丁を誰にも触らせるな……と言い聞かせているかというと。
それは私が日本で修行を積んでいた頃……性格の悪い上司に自分の包丁を酢漬けにされてしまったからだ。
もちろん鉄が主成分で作られている包丁だったから、瞬く間に錆びてしまった。
それからというものの自分の包丁は厳重に管理して、自分以外触れないようにしている。
まぁ、自分が過去に踏んだ轍を踏ませないようにという教えだな。
「ミノルさんの言いつけは守ります。……それで今日はこれでもうおしまい……ですか?」
「ん、そうだな。」
しかし、アベルとノアの二人の目には、早く包丁を使ってみたいという好機の色が浮かんでいる。
ふむ、本当は今日は触らせるつもりはなかったけど……。
「ノノ、今日の野菜の仕込みアベルとノアと一緒にやってくれ。」
「わかりましたお師様!!」
「二人が自分の手を切らないようにしっかりと教えてやってくれ。」
「はいです!!それじゃあアベルさんとノアさん。こっちに来て下さい。」
「「は~い!!」」
そしてノノはアベルとノアに包丁の扱い方を教えていった。アベルとノアの良いところは、年下であるノノの意見を素直に聞き入れるところだな。
この業界では自分の年齢より若い人の下につくなんて当たり前のことなんだが……。それを受け入れられない人が結構いる。
私にも何度かそういう年下を嫌う人が下についたことがあるが……本当にろくでもない。人の言うことは聞かないし、仕事はできない。最悪だ。
「さて、後はここからハイペースで教えていかないとな。」
今頃アルマスが人間の国の天候を操って雨が降らないようにしているだろうから。本格的に被害が出てくるまで、まだ時間はかかるだろう。
それでも時間の問題だ。早くアベル達を成長させておくことにこしたことはない。
これからが私の腕の見せ所……だな。
それではまた明日のこの時間にお会いしましょ~