表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フンコロガシの子守唄  作者: るりまつ
9/9

再び

 


 ゴソゴソゴソゴソ……


 糞玉の中から大きな音がして、ボコンッ!と、足が飛びだしました。

 それと同時に糞玉は粉々に砕け散り、


「おりゃー!目が覚めたぞぉ!!」


 と、元気な男の子が現れました。タマ助です。


 タマ助は思い切り伸びをすると、巣穴の中を見渡しました。

 すると、砕けたフンの塊りの下に、誰かの前足が見えました。

 びっくりしたタマ助は、


「大丈夫ですかっ?!」


 と言って、その前あしを掴んで引っ張りました。

 フンの塊りの下から出てきたのはタマ子でした。

 

 タマ子は口元に微笑みを浮かべたまま死んでいました。


 タマ助はそれを見て震えあがり、タマ子の冷たい前あしをそっと離すと、巣穴の壁にへばり付きました。

 そして上を見ると、そこにはコロ助が出て行った時の、地上へと続く穴の名残りがありました。

 タマ助はそれを見つけると、チラリとタマ子の方を見て、それからゆっくり、そっと、穴を登り始めました。



  上へ、上へ、上へ……






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー*



これでお終い。


これで全部。


たいしたこっちゃないんだ、結局。


物語の中身なんてどうだって良かったんだ。


僕が本当に伝えたかったのはこの後だった。


君はもちろん知らないだろうけど、


物語を終えて、君が眠ったのを見届けると、


ボクはいつもその寝顔にキスをして、


それからそっと囁いた




……今頃言っても遅いよね。


薬を飲み過ぎて、もう二度と起きない君。


眠る前に、言えれば良かった









                        愛してる









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ