再び
ゴソゴソゴソゴソ……
糞玉の中から大きな音がして、ボコンッ!と、足が飛びだしました。
それと同時に糞玉は粉々に砕け散り、
「おりゃー!目が覚めたぞぉ!!」
と、元気な男の子が現れました。タマ助です。
タマ助は思い切り伸びをすると、巣穴の中を見渡しました。
すると、砕けたフンの塊りの下に、誰かの前足が見えました。
びっくりしたタマ助は、
「大丈夫ですかっ?!」
と言って、その前あしを掴んで引っ張りました。
フンの塊りの下から出てきたのはタマ子でした。
タマ子は口元に微笑みを浮かべたまま死んでいました。
タマ助はそれを見て震えあがり、タマ子の冷たい前あしをそっと離すと、巣穴の壁にへばり付きました。
そして上を見ると、そこにはコロ助が出て行った時の、地上へと続く穴の名残りがありました。
タマ助はそれを見つけると、チラリとタマ子の方を見て、それからゆっくり、そっと、穴を登り始めました。
上へ、上へ、上へ……
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これでお終い。
これで全部。
たいしたこっちゃないんだ、結局。
物語の中身なんてどうだって良かったんだ。
僕が本当に伝えたかったのはこの後だった。
君はもちろん知らないだろうけど、
物語を終えて、君が眠ったのを見届けると、
ボクはいつもその寝顔にキスをして、
それからそっと囁いた
……今頃言っても遅いよね。
薬を飲み過ぎて、もう二度と起きない君。
眠る前に、言えれば良かった
愛してる