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企画参加作品(ホラー抜き)

梅太郎と人魚

作者: keikato
掲載日:2016/09/19

 梅太郎は独り者の漁師である。

 村の多くの若者は、梅太郎と同じように独り者だった。貧しい村なので嫁が来てくれないのだ。


 そんな満月の夜。

 漁師仲間の竹次が人魚を捕まえてきた。

 沖合で漁をしていて網にかかったという。

 その人魚は尾ヒレがピンクで、オッパイの大きな人魚だった。今では竹次の嫁となっている。

 さらに、先日の満月の夜。

 幼なじみの松吉も人魚を捕まえた。

 やはり沖合の網にかかっていたそうである。

 松吉の人魚は巨乳でこそなかったが、やはり尾ヒレがピンクであいらしい顔をしていた。

 村では松吉の盛大な祝言があげられた。

 ならばと……。

 梅太郎は満月の夜を待って、竹次と松吉が人魚を捕まえたという沖合に出た。

 舟から網を流して待つ。

 そして待つこと一刻。

――かかってろよ。

 梅太郎の網を引き上げる手にも力が入る。

 月明かりのもと。

 波間で金色に光る尾ヒレが見えた。

 人魚が網の中ではねている。

――やったぞ! オレにも、ついに嫁っこが。

 梅太郎の心はおどった。

 人魚の尾ヒレが金色に輝いている。

 竹次と松吉の人魚はピンクだった。金色なら、その上をいく上物にちがいない。

――こいつは絶世のべっぴんだぞ。

 期待に胸をはずませながら、梅太郎は舟に網を引き寄せた。

 人魚が舟に上がった。

 人魚がはらはらと涙をこぼす。

――すまん。

 梅太郎はせつなくなって、人魚をそっと海に帰してやった。

「元気でな!」

 手を振って見送る。

 なんの後悔もなかった。

 人魚が振り返る。

 波間に見える顔はオッサンだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 「月(と)のお話し企画」から拝読させていただきました。 分かる。分かるぞ。梅太郎。 頑張れ! いつかきっとピンクがかかる……はず。
[一言] 瑞月さまのご紹介からまいりました。 なんと言えばいいのか、くすり、も、ほっこり、もあると思うのですけど、それを上回る(もしくは相互作用の)情緒というか。素敵です! 個人的には、オッサンの“ …
[良い点] 企画から参りました(^^) 金色! ついにやった! と私も胸を躍らせましたが…… 「オッサン」 そりゃ、帰って頂きましょう…… おもしろかったです!! [一言] オジサンという魚も…
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