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一話 運命って……

 ……さて、これからどうなるんだ?

 アリサが消えて数時間が経っただろうか。

 まあ、体感でだが。

 てか、暗くなっただけで終わりなのか? 


 「おーい。何もおこらねーぞ、関係者出てこーい!」


 フッという、浮遊感が俺を襲った。

 正確に言うなら浮いたのではなく……足元が抜けたんだが。


 「うおおおおおおい!! 手荒すぎるだろおおぉぉぉぉ!!!!」


 俺は落ちていた。

 それも、ものすっごい速度で落下していた。

 眼下に広がるのは積雲。

 それに幾度となく突っ込みながら俺は地上へ落ちていく。

 積雲を抜ける――と次に目に入って来たのは雲一つない青空。

 そしてギラギラと太陽の光を照り返す青い海と広大で雄大な緑の大地。


 「っ――――」


 俺はこの時改めて、自分の神経の図太さを知った。

 そう不覚にも、俺はこの状況でこの光景を美しいと思ったのだ。

 落ちる速度は減速する事はなく。

 緑の大地に落ちていく。地面が俺に迫る。

 もうだめかな。

 俺は覚悟を決めた。

 そう、死ぬ覚悟を。

 さっき転生したと思っていたが、多分手違いが起きたのだろう。

 多分あの女官がいい加減な設定をしたからに違いない。

 きっとそうだ。まあいい。

 俺は死ぬかもしれんがまた戻って今度は恨み言を散々言ってやる!!


 急にグイっと進行方向が九十度切り替わり、今度は森の木々を避けながら進む。

 地面すれすれを滑空している。

 そうこうしない内に開けた場所に出た。


 車幅のある道。恐らく街道だろう。

 馬車が通るのかそれなりに整備されている。


 そこを仲睦まじい母娘おやこが歩いていた。

 母娘は金髪に瑠璃色の瞳。

 肌は白く透き通るほどに白く感じる。

 恐らくお揃いの白いワンピースを着ているからそう見えるのだろう。


 母親のお腹が膨らんでいる事から妊婦だという事が窺い知れる。

 俺はその母親のお腹に向かって突っ込んでいく。

 なるほど。

 まさかと思が……この人が俺の母親になる人じゃないのか?


 尚も速度は落ちる事はなく俺は母親との距離は五十メートルを切った。

 このままいけば俺はこの人の息子として生まれるんだろうな。


 だが、俺はこの時ほど運命って残酷だと思った事はない。


 残り三メートルを切った時の事だ。

 隣を歩いていた娘……推定五歳が母親の前に突然立ったのだ。


 「なっ――――」

 「あのね。弟でも妹でもお姉ちゃんす――」


 女の子は、手を上げて母親に宣言していた。 

 俺はその子の背中に激突し、女の子は衝撃で吹き飛ばされ、とっさに避けた母親の脇を通り越して三回転して止まった。


 遠くで何が起こったのか分からずに硬直している母親が、ハッとなって女の子の名前を呼びながら駆け寄ってくる姿を最後に俺は意識を手放した。




 カレン・ウィンドミル――それが、俺が激突した少女の名前で、今の俺の名前であったりする

 あれから三日が経過したが、俺がこの体から出ていく事は出来なかった。

 そもそもあれは無い。あれは無いだろ!


 「カレーン。お父さんの所に行くわよー」

 「はーい!」


 俺は母――ミュルスの呼ぶ声に元気よく返事をして、洗面台から降り母の元へ走って行く。

 ああ、やっぱ綺麗だわ。

 生前女っ気のない生活を送っていた俺としては、例え母親であったとしても癒される。

 今の自分の顔を鏡で見て毎回。可愛いなと。

 あと数年したらミュルス並に美しくなるとしたら悶えるね。

 自分の美しさに。


 「カレンったらまた鏡を見ていたの?」

 「う、うん」

 「あんな盛大に転がりはしたけど、顔は変形していないから大丈夫。気になってしょうがないでしょうけどね」


 口元を隠しながらクククと笑う母を半目で見つめる。

 笑う事ないじゃないか。確かにあんなに盛大に転がったけどさ。


 「そんな顔しないの。折角可愛いお顔がだいなしでしょ。さあ、準備をして。お父さんの所に行くわよ」


 ミュルスはツタを編んだバスケットを手に提げて、つばの広い白いリボンが巻かれた麦わら帽子を被り、俺にもそれの子供版を俺に被せてくれた。

 

 オルス・ウィンドミル。この世界での俺の父親だ。

 彼は十三大陸の一国。

 東の方角にある。

 エルベルト国の端っこの領地ウィンドミル領を代々任されている貴族様らしい。

 位は男爵だったか?

 貴族様は嫌いだが、この父はとても善人らしい。

 不作の時は税の軽減したり、食べる物が無い家が出た時には自分の所の食料を分け与えたりしていた。

 とても好感が持てる奴だった。家が貴族と分かった頃は、汚職や不正を働いているようなら容赦なく国に告発してやろうと、思っていた。

 故に質素な生活をしている。


 不意に黒い大きな影が俺達の上空を飛び去った。

 上空を旋回する飛竜が目に映る。


 「あ、お父さんのとこの竜かな?」

 「……良く見えたわね。多分そうじゃない?」


 この世界には竜がいる。

 おとぎ話の産物の魔法がある。

 亜人がいる。

 獣人がいる。

 魔族がいる。

 魔物がいる。

 多分今度の人生が一番濃厚で、有意義な人生が送れる予感がする。

 そんな気がする。


 父の治めるウィンドミル領は、飛竜の養殖を代々行っており、その知名度は高く竜騎士の間では、一つのブランドと化している程である。

 竜騎士は野生で竜と契約するか、人になれた飛竜を購入する。

 または引退する竜騎士のお下がりを乗るかに分かれそうだ。


 まず野生。

 この世界にいる竜種の代表として挙げられるのが、赤竜、青竜、風竜、土竜、

白竜、黒龍の五種族だ。


 野生のデメリットは、種族によって気性は変わるが全体をとうして言える事はプライドが高いこと。その上、人になれていないこと。

 なので竜と戦って強さを証明し、認めてもらうか、相手の要望を聞き、叶えてあげるほかない。


 メリットは個性を活かせること。そして、寿命が長い事である。

 風竜の亜種である飛竜はよく生きて五十年だが、野生は百年をゆうに超えると言いう。

 もしかしたら千年以上生きている個体もいるのかもしれないと言われている。

 寿命が長いため、それまでの経験で色々物事を知っているためその知識にあやかろうとする者もいるらしい。


 次に飛竜の購入。

 このデメリットはとても値段が高額であるという事。

 ただそれだけだ。

 ある人は言いました金で買えないものはないと。まあ、金で買えないものはあるって言われてもそれは金持ちのいい分で貧民からしたら頭おかしいんじゃないって思うけどな。世の中金だ。事実だから仕方ない。

 先程ウィンドミル領の飛竜はブランド化されていると述べたが、十三大陸の中で一番高額で競り落とされるのがウィンドミル産の飛竜であるからだ。

 ウィンドミルの他にも飛竜の養殖をおこなっている所はあるのだが、価格帯はウィンドミル産の飛竜の値段よりも比較的安い。

 ウィンドミル産は状態が最悪(E- 級)で金貨五十枚。

 状態が最高(A+ 級)で金貨五百枚と価格帯にピンからキリまである。

 ほかの場所の飛竜は良くて金貨三十枚。悪くて金貨十枚と言われている。

 どうしてそこまでウィンドミル産の飛竜にこだわるのか、今度はメリットの話をしよう。

 ウィンドミル産の飛竜の特徴として挙げられるのが速さ、そして何より強靭さだ。

 飛竜は掛け合わせによってその長所を色濃く引き継いだ個体を造り出すことが出来る。

 飛行に特化した個体を突き詰めたければ飛行に適した風竜と飛竜を何代にも渡って交配し続け、につめていけば飛行に特化した飛竜を作り上げる事が出来る。


 だが、速いだけでは意味がない。


 ただ速いだけの飛竜でレースをするならいいだらろう。

 しかし、そういう訳ではない。

 飛竜は戦場で竜騎士が乗る相棒である訳だ。

 そこにはある程度の条件が発生してくる。


 それがある程度の速さを持ちながら、ある程度の頑丈さを持った飛竜が望ましかった。

 その条件に合ったのがウィンドミルだった。

 ウィンドミルでは、躾け、戦闘訓練、飛行訓練、栄養管理を徹底して行っているため、直ぐに実戦投入ができるために重宝されている。

 

 最後に飛竜を引き継いだ場合。


 デメリットは引退した騎士の癖になれないといけない事。ただそれだけ。


 メリットは購入しないで飛竜に乗れると言う事くらいか。

 故に竜騎士は騎士の花形的存在で競争率は近衛を超えるらしい。

 カッコいいもんな。


 「オルスー。お昼にしましょー」


 そうこうしている内に父オルスが経営している飛竜牧場に着いていた。

感想、要望お待ちしております。

またこの時間にお会いしましょう。

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