維新の礎(13)
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「「「追え!打ち払え!」」」
各方面より怒声が響く。
久坂自ら率いる一隊は海岸に沿って並べた大砲を一斉に咆哮させ船を沈めんと
する。長い時間が経過し、一頻攻撃を浴びせ弾替えに係る時にはすでに船は傾き
瀬戸内に係り赤く反射した日は船体をなぞって曲がり戦いの終焉を感じさせていた。
「やったか・・・・!」
「うおおおおお!!!」
「わしらが沈めたぞ!」
隊士は老若入り混じって声をあげ歓喜している。
初めての攘夷戦はこれで一先ず成功といえよう。
久坂は近寄ってきた高杉らにふっと笑み安堵の溜息を漏らすと沈み行く船にもう一度
視線を向け暫くは動かなかった。
「久坂、やったな!」
幕舎に戻って開口一番高杉はバシバシと背中を叩いて彼を励ました。
久坂の表情にに若干の疲れと不安が見て取れたからである。
「晋作・・・僕はまだ緊張がとれんよ」
「ほうか・・・」
「本当に今日攘夷が行われたんじゃのぉ・・・・自分でやっておいて可笑しな話じゃが・・・
まだまだ実感が沸かん」
久坂は朝から気を張り詰め戦に皆を引き締めていた。その緊張の糸がまだ解けぬとあってか
少し硬い表情のまま力なくつぶやいた。
「ま、なんにせよこれからがまた大変じゃろうな。」
「うん・・・報復があるとも限らん。備えは怠ってはいけんし・・・僕もまた京へ上がり情勢を
見てこんにゃいけん。」
久坂は高杉や遅れて入ってきた伊藤ら同門生らと軽くささやかな祝杯をあげると
早々に床についた。
彼にとって初の戦いであり、久しぶりの安眠となった・・・・・・。
ちと、不調の為土日(20、21)はお休みさせていただきます。