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久坂玄瑞伝  作者: sigeha-ru
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維新の礎(11)



馬関に碇を下ろしたのは米国商船だった。


久坂は自ら集めた光明寺党なる武装団を率いて海峡へ寄せ、今か今かと時を待つ。

若く荒々しい光明寺党の面々はいつやるのかと久坂達纏め役に問い詰める。

幾日かにらむだけの日々が続いた頃・・・久坂は遂に決断する。



「あやつらは明日には碇を揚げて去っていくだろう。その前に打ち倒してしまおうじゃないか!」



「おお!」



「やってやろうじゃないか!」



久坂の怒声に血気盛んな光明寺党の若武者達はいきり立った。

久坂は尊攘を訴える者達の先駆けとしてこの一戦に全てをかけるつもりでいた。

彼自身も体中の血が沸々と滾るのを感じ、明日を今か今かと待ち焦がれた。




「おお、はりきっとるな。」



「晋作か・・・。僕も彼らの意気に飲まれてすっかりその気になっとるよ。」



「攘夷はお主にとって悲願じゃけぇの・・・。逸る気持ちは判るがまあ落ち着いていけよ?」



「ああ、言われんでもわかっとる。」



双璧は互いに励ましあってそれぞれの床に就いた。

明日はいよいよ攘夷の先駆けとなる。

兄・玄機が果たせなかった攘夷・尊王の夢へ今自分は踏み出そうとしている。




この攘夷戦線は日ノ本にとって一つの大きな分岐点となる・・・

尊皇攘夷を掲げる志士にとっては尚更・・・

維新への道筋を確固たるものにする為にもどうしても避けられぬものとなるのだった・・・










−翌朝・・・





「ふわぁ、よう寝た」



「玄瑞〜起きとるか?」



高杉は久坂と同じ天幕でぐっすり眠り、欠伸をしながら目覚めた。

ふと隣にいる筈の友に声をかけた高杉はあれ?と首をかしげる。

そこには既に久坂の姿はなく、綺麗に畳まれ整えられた寝具だけが視界にうつった。



「なんじゃ・・・早いのぉ・・・もう行ってしもうたんか?全く、起こしてくれたって・・・」



もそもそと文句垂れながら寝所を畳むと、高杉は着流しから整えた陣羽織に着替え久坂が

居るであろう先陣に向かうのだった。




「もう直ぐここを外国船が通る筈じゃ!急げ!逃しちゃいけん!」




久坂の大きく澄んだ声が耳に入る。

どうやら一団の指揮を執っているらしい。


その声を聞いて高杉はにたっと笑むと、声の方へ更に足を進めていくのだった。














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