トリック・オア・トリック
友達から聞いた言葉を小説にしてみました。
「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ「うっるさい!!!!」
俺は怒鳴った。それも、彼女に。
その理由はやけに「ねぇ」を連呼し、左肩を大きく揺られていたからだ。
彼女は、俺のベッドにストンと座る。
付き合ってまだ、半年。彼女とは家が隣同士の幼馴染み。
小さい頃からずっと好きだった。
いっつも笑顔で、お人好しで、前向きな彼女が好きだった。
告白をしたら、あっちも好きだったらしく恋人同士になったのだが。
「何なんだよ!人が勉強してるっつ~のに!」
「えぇぇ!!だって、構ってくれないじゃん!」
だから、勉強してるから構ってやれねぇの!!分かってくれよ!
そんな言葉は飲み込み、溜息を変わりに出す。
シャーペンを机に置き、彼女が座っている俺のベッドの方へ向く。
「何だよ…また、変な遊びでも思いついたのか?」
そうだ。彼女は昔からヘビ掴みごっことか大食いごっこなど、
数々のへんてこな遊びを俺を巻き込んでまで遊んでいた。
もう俺たちは、18歳で受験生だというのに。
「違うよ!じゃぁ、問題で~す。今日は何の日でしょ~か?」
「あぁぁぁ…たしか、文化の日?」
「それは11月3日!」
「え~っと…忘れたよ」
ここはあえて答えない。
なぜなら、目の前の彼女の表情がとても好きだから。
頬を膨らまし、睨んでいるつもりのようだが全然怖くないこの表情が。
「もう!今日はハロウィンでしょ!」
「あぁ、そうだったな」
腕を組み、口を尖らせているところがまた、愛らしい。
いつまでも、眺めていられる。そんな気がした。
「トリック・オア・トリート!お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ!」
彼女は右手の人差し指で俺を指差し、左手を腰に当てた。彼女の悪い癖だ。
「そうかそうか。よし、ちょっと待ってろ」
万が一のためにアメを自分の部屋に持ってきていてよかった。
「ほらよ。ミカン味のアメ」
「やった~!」
彼女はアメを俺の手から奪い取ると、さっそく食べ始めた。
やっと静かに勉強が出来る。
そう思った時、あることをひらめいた。
「トリック・オア・トリート」
「えっ?」
彼女はアメを食べながら、きょとんと首を傾げる。
お前は、俺を萌え死にさせる気か!可愛すぎだろ!!
という言葉を飲み込む。
「お返しは?」
「あっうん!持ってる持ってる!」
彼女はポケットの中に手を突っ込むとごそごそと何かを取り出す。
取り出した物は袋に入ったマカロンだった。それも、オレンジ色の。
「ミカン味のマカロンなんだよね~」
「そこはカボチャだろ」
冷静に突っ込んでしまった。
「いいじゃんいいじゃん!」
と、彼女がベッドから立ち上がり近づいてくる。
引っかかった。こいつは、本当に引っかかりやすい。
「はい、どうきゃっ!!」
「どうぞ」と言いたかったのだろう。
しかし、そうはさせまいと彼女の腕を引き寄せ俺の膝の上に乗せる。
ついでに、腰に片腕を回し逃げられないようにした。
ちゃっかり、マカロンを奪い取って。
彼女は背が小さい方で今、俺の膝に座っていても俺とあまり変わらない。
「あの~?すみませ~ん。離してくださ~い」
「嫌だよ」
ぜって~、離さねぇし。お前は俺の彼女なんだしさ。
「トリック・オア・トリック」
「へっ?」
彼女はマヌケな声を出した。
「意味、分かる?」
「ううん、全然。聞いたことないもん」
さぁ、どんな反応をするかな?
「お菓子をくれても、いたずらするぞ?」
そう言って、彼女を俺の方に身体ごと、向かせる。
目の前の彼女はというと数秒間、「?」を頭の上に浮かべていた。
が、何かに気づいたのかみるみるうちに赤くなっていく。
そりゃもう、真っ赤に。
多分、俺の顔がニヤけていたせいだろう。
「無意識に誘ってたの?それとも、意図的に?」
「そっそんなわけ!んっ!!」
そして、おれは彼女にキスを落とした。
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