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偽る男の偽証の朝
「そうだよオレオレ、タケシだよ」
誰もいない部屋で、独り、『タケシ』が電話口に向かって話しかけている
「あぁ、うん、金額は…百万あればいいかな?あーうん!後はなんとかするから!よろしく!」
がちゃり
「……今回もまた上手くいったら凄いな…」
若い男はそそくさと部屋を後にする
「ってそんな上手くいくわけないか」
彼は警察に聞こえないように呟いた
なんでも職務質問らしい…全く腹立たしいことだ、なんで俺が
と思いながら1人路上で、警官2人を睨みつける
「ええーと、お名前お聞かせ願えますかー?」
「小金井、小金井異鶴」
「ん?」
「だから小金井異鶴だよ、コガネイイツル!」
「あーわかりました、本名ですか?」
「当たり前じゃないすか」
「えー荷物検査をさせて頂きます…」
チッめんどくさい、人に試したことは無いが、やってみよう、男は度胸だ
「なんてな、俺は黒月だ」
〜〜〜
歩いて数分、反応アリ
この右の曲がり角だな、この近くだ
言われてみれば確かに「署長!」だの「黒月さん!?」と話し声が聞こえるような気も…
俺は曲がり角を曲がるために、少し緊張しながらビクビクと歩き出す