悪夢
「い………で、い…ないで、いかないで!!!」
真っ暗闇でひたすら叫ぶ私。
誰に向かって言ってるの??
「お願い…。あなたがいなくなったらどうすればいいの??」
いつのまにか私は泣いていた。めったに泣かない私が大粒の涙を大量に流していた。
よく見るとずっと先の方に誰かいる。
「行っちゃダメ━━!!!」
その人を見るなり叫んだ。そして走り始めた。
「お願い待って!!!」
必死に走る。が追い付けない。その人は歩いているのに…。
やっとの思い出追い付き、手をのばしたその時、目がさめてしまった。
パジャマは汗でぐっしょり、顔は涙でぐっしょり濡れていた。
なんだったんだろ???やけにリアルな夢だった。この夢のコトは忘れていない。それほど印象深く残ったのであろう。
夏美はこの夢をすごく恐いものだと思った。悪夢だと…。
この夢を見るのは何回目だろう。
恐くなった私はその夢のコトを東弥に話した。するととても悲しそうな顔をして聞いてくれた。
「それで…その先は???」
「わからない。いつも同じ所でおわるんだ。」
「そっか…。」
おかしい。いつもと違う。いつもだったらもっと大きいリアクションで励ましてくれるのに。
こいつ何か知ってる…。
その日の夜もまたあの夢を見た。
「またこれ…。」
しかしいつもの夢とは大きく違った。
夏美はこの夢の最後がわかってるので追い掛けようとしなかった。
「今日は上のほうが赤い。」
するとあの人が出てきた。その人はいつもは背中をむけてるのに今日はこっちを向いて立っている。
よく目をこらして見てみた。
「夏…」
!!!!!
そこで目が覚めた。
「あれは…東弥…。」