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あの日の空  作者: 夏実
3/11

切なさ


「初めまして。〇〇県から来た、田中東弥です。よろしく。」


簡単なあいさつをすませた。もうクラスの女子は騒ぎ初めていた。


「皆仲良くしろよ。んじゃ、田中の席は…おっ!!!あそこが空いてる。あそこに座れ!!!!」


一番後ろの一番窓側が東弥の席になった。その横が私…。



「よろしく。まだ何もわかんないから色々と教えてね!!!」


さっきとは打って変わって明るい。その声は懐かしいような気がした。なぜかほっとけない感じがする。


「うん。よろしく。困ったら何でも聞いていいよ。」





「やっぱり変わらないね。夏は…」


「何か言った???」


「なんでもないよ。」


夏美と東弥は席が近い所為かすぐに仲良くなった。

話もよく合うし、いっしょにいて落ち着く。1ヵ月もすると何でも話せる相手になっていた。


「私、やりたいコトが見つからないの。もう死んでもいいって思ってた。」


「過去形???」


「過去形だよ。今はもうそんな気持ち薄れてる。東弥が色々相談乗ってくれたから楽になれた。」


「そっか…良かった。」



2人はいつも屋上で話す。夏美は空が大好きだ。それは偶然にも東弥も。

カラッと晴れた日が2人とも好きだった。

しかし夏美は切なくなる時もある。理由はわからないがとても悲しい。涙が出た時もあった。


「もう完璧夏だね…」



その夜不思議な夢を見た。頭にこびりついて離れない夢を…。


こんなに繊細に覚えていて少し気味が悪かった。

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