第五話『妖精が棲む家』
歩く間際にトムテがまた、
いつ襲いかかってくるのかと身構えていたけど、
こちらから手をださないかぎり襲いかかってこないようだ。
歩く姿はピク〇ンみたいに可愛いのに・・・。
ノルンが住む家に着いた。
小屋から徒歩で歩ける距離に家があった。
木造でできた家だ。
屋根の形状は三角形で一般的な家の形だ。
ちょこんと煙突がある。
ピュー
ノルンが再び口笛を吹いた。
すると、数匹のトムテがノルンのもとに集まり、列を組んだ。
ノルンはトムテの上に乗っかり、家の前に吊るされたベルを慣れた手つきで鳴らす。
家の中から足音がする。
ガチャ
「おかえり!ノルン」
「おかえりなさいノルン」
「ママ、パパ、ただいま」
「おや!」
「あら!」
「ノルンとなりにいる子は?」
「紹介するね。こちらにいるのはクネヒト」
「まぁ細かい話はあとにして。とにかく外は寒いから、ささ!家の中に入って」
ノルンの家族は、クネヒトを温かく向かい入れた。
「お邪魔します」
♰♰♰
クネヒトが家の中に入ると、奥の部屋に暖炉があった。
暖炉の傍には、気持ちよさうに寝ている犬がいる。
あれは!
パッと見たところ、気になったのが、リビングの隅に置いてあるものだ。
重そうな武器が置いてある。
金属で出来ている盾や剣、槍や斧だ。
ノルンのお父さんは狩人なのかな。
「はじめまして。小豆・久根人といいます」
「クネヒトというのか。いい名前だ。はじめまして、私の名前はノルン・ウィンターズ。ここいらで農家を営んでいる男だ」
「私はノルンの母、ノルン・ローゼンです。気軽にローゼンって呼んでね」
良かった。二人とも優しそうだ。
クネヒトは胸に手をあて、ほっと一息した。
「ねぇ。お父さん、クネヒトは帰る家がなさそうだから泊めてあげたいの。駄目?」
「別にそれはいいが。一つ質問がある。クネヒト君は、どうやってここ、トムト村にやってきたんだね」
「それが・・・ごめんなさい。うまく説明しづらくて。そのプレゼントをあけたら、
いつの間にか知らない場所にいて」
未知の力が働いたとかしか説明しようがない。
ゴニョニョ
クネヒトは言葉に詰まった。
「ふむ」
ウィンターズさんは、あご髭をなでるように触る。
「お父さん。クネヒトは雪山で倒れているところを私が見つけて、小屋まで運んだの」
「なに!?」
「よく魔物の餌にならずに済んだな」
「魔物ですか?」
「そうだ。ここの村はトムテたちに守れているんだ。だが村の外を一歩出ると魔物がうじゃうじゃと生息している。とくにウェンディゴには注意だ。気性が荒いから人間をみたら、地の果てまで襲いかかって殺しにくる。娘に助けられた君は運がいいようだ」
じゃあノルンが助けてくれなかったら、僕は死んでたのか。
どのみち、魔物の餌になるか凍死して死んでただろう。
「・・・そのノルン本当にありがとう。どうやってお礼を返せばいいのか」
「いいの。なにより仕事帰りだったし、この子たち(トムテニッセ)がいるからヘッチャラよ。」
ノルンはトムテの頭を撫でた。
「あっ、いけない!いそいで、晩ご飯の用意しなくちゃ。クネヒト君もお腹空いてるだろうから、ぜひ食べちゃってね」
ローゼンさんはエプロンに着替えて、晩ご飯の支度にとりかかった。
――数分後
「じゃあ〜ん。お待たせ〜ぇ。ローゼン特製。愛情たっぷりミルク小粥とミネストローネ、それとヘルシーサラダにぶどうジュースです。召・し・上・が・れ!」
美味しそう!
「いただきます」
では一口。
パク!
うっ、上手い。
「美味しいです!」
美味しすぎて涙が出てきそうだ。
思い返せば、親に反抗してばっかでろくにご飯を食べたことがなかった。
今頃、母はなにをしているのだろうか。
探してる?
いや、親なんて知らない。僕は今、異世界にいるんだ。自由を謳歌するぞ!
パクパクムシャムシャ
バクバクバクバクバクバク!
クネヒトの隣ではトムテがミルク小粥を食べていた。
「美味しそうに食べてくれて嬉しいわ。そうだわ、お父さん、泊まるところはどうしましょう」
「そうだなローゼン。地下の物置き部屋があっただろ。あそこをクネヒト君の寝床にしてあげよう」
「いいんですか」
「ああいとも。どうせ使ってないんだ。親父が収集していた本やらガラクタを片付けるから待っててくれ」
「ありがとうございます!」
その日の晩、クネヒトはウィンターズ夫妻の要望で泊まらせて貰うことになった。
泊まるというより、住むことになった。
勿論、条件つきだ。畑の手伝いなど、いろいろすることがある。
クネヒトはベットの上で明日への想いに期待を寄せた。ワクワクする!
おやすみなさい。




