第四話『農家の妖精トムテ』
「ノルンちゃん。あの小人みたいな生き物は?」
「クネヒト。そのちゃん付けやめて」
ノルンは怒った。
「ごめん」
「普通にノルンって呼んでほしいかな」
「・・・そうね。彼らはトムテニッセ。私たち農家にとってなくてはならない存在なの。作物の収穫や牛や馬の世話を手伝ってくれるのよ」
「働き屋さんなんだ」
「うん。ものすっう~ごく働きもの」
一匹のトムテがクネヒトの前を通った。
触ってみたい。
ごくん
クネヒトは唾をのみ込む。
今までアニメの世界でしか存在しないと思ってた生き物が目の前にいる。
好奇心が止まらない。
「すこしだけ触ってみてもいい?」
クネヒトはトムテに触れた。
「あっ、だめ!」
「え?」
クネヒトが素手で触れたとたん。
トムテがクネヒトの背中に飛び移り、襲い掛かってきた。
クネヒトの背中に飛び乗ったトムテは髪の毛を力強く引っ張る。
「痛い!痛い!痛いって!」
ノルンは面白そうにクスっと笑う。
「トムテたちは、とても警戒心が強いの。まだ会って間もない人が下手に触れると彼らに怒りを買ってしまうわ」
なんてこったい。
引きそうと離そうとすれば、するほど、くっついて離れない。
むしろ力が強くなる一方だ。
ピュールルル!!!
ノルンが口笛を吹いた。
口笛の音に反応したのか、クネヒトから、しがみついて離れなかったトムテが手を放して、テコテコと立ち去っていく。
「たっ・・・助かった。髪の毛がちぎれるかと思った。ありがとう」
「ふふっ。どういたしまして。面白いから、もう一回触ってもいいわよ」
「絶対にいやだ!」
ノルンは見かけによらず、小悪魔みたいな性格をしていた。
「ヘクッチ!」
「ごめんなさい。すぐに家まで送るわね」




