第三話『主よ、人の望みの喜びよ 召喚』
「ぷはっ、なんだこれ」
目覚めると、体を包み込むように藁が覆い被されていた。
クネヒトはむくりと起き上がり、体に纏わりついた藁を払いのける。
キョロキョロと辺りを見渡す。
赤いレンガで敷き詰められた建物だ。
直ぐそばには馬が五頭、柵に繋ぎ止められていた。
小屋の中にいるのだろうか。
「目が覚めた?」
「うわっ!」
クネヒトの背後に少女がいた。
灰色の瞳に金髪のポニーテール、肌にはソバカスがある。
「だ、誰!?」
「私?私はノルン・シュタイン。あなたのお名前は」
「小豆久根人・・・」
「はじめまして」
少女はニッコリと手を差し出した。
クネヒトは戸惑いながらも少女と握手を交わす。
「えっと、そのここはどっ・・・はっ、は、は、はっくしょん!」
ズぅー--
くしゃみがでた。
頭がぼーっとする。
「風邪を引いちゃったんだね。はやく家の中で暖まらないとだめ。付いてきて」
クネヒトは言われるがまま少女のあとに付いた。
状況を理解できないまま、
ノルンに導かれるように小屋の外に出た。
・・・!!!
「え!?」
舞い落ちる雪の中、小屋の周りには、赤いトンガリ帽子を被った奇妙な生物がいた。
垂れ下がった灰色のあごひげをはやし、指は4本ある。また、耳は尖っていた。
それは童話に出て来る小人のような外見をしていた。
クネヒトは、ぼんやりと、その不思議な光景を眺めた。
「安心して人間を襲って食べたりしないから」
二本の足で歩く姿は、まるで子どものようだ。
彼らは馬に跨がり、雪道で散歩させたり走らせたりしている。
クネヒトは夢の中じゃないかと頬っぺたを強く捻ってみる。
!
うん。痛い。
僕の勘違いじゃなければ、ここは異世界だ。
夢が叶ってしまった・・・。




