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魂と演算:AI世代の『物語』論争  作者: 済美 凛


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課題と、AIはダイナマイトか?

Aパート


第5話での激しい論争後、火野と律は互いに怒りと屈辱を感じながら、久保編集者のオフィスに呼び出される。久保は、二人の対立を意図的に煽るように静かに課題を提示する。



「お二人の論争は白熱しましたが、結局は『自己の防御』でしかなかった。それでは進歩がない。次の課題です。」


久保は、火野には律の原稿を、律には火野の原稿を渡し、席替えをさせる。


「火野さんには、律さんの『最適化された終末』を、構造を完璧に理解した上で、その論理的な欠陥を分析しなさい。律さんには、火野さんの『爆弾の詩』を、熱量に圧倒された上で、その制御不能な部分の文学的価値を分析しなさい。」


久保の課題は、二人にとって最も非効率的で屈辱的な、「相手の土俵に立って理解する」という作業を強いるものだった。


Bパート


律は、久保の課題を「次作の成功率を高めるための必要なデータ収集」として即座に受け入れ、火野の作品の分析を開始する。


彼女のAIは、火野の作品の破綻部分をデータで示し続けるが、律はそこに込められた生の感情のエネルギーを無視できない。


(澄堂律の心の声: この熱量は、確かに非効率。しかし、一瞬たりとも目を離せない。これは破壊的だが、読む者の心を焼き尽くす力がある。まるで、火野誠自身が、制御不能な「火薬」のようだ。)


律は、火野の熱量が持つ文学的価値と構造的な危険性の両方を初めて論理的に理解し、同時に、その熱量が自分の欠けているピースである可能性を意識する。


Cパート


律は分析を終えた後、火野に短文のメールを送る。それは久保の課題とは別に、律自身が火野の「AI悪玉論」に挑むための、新たな論理の土俵の設定だった。


澄堂律からのメール(火野のスマホ画面に表示):

件名:ダイナマイトの倫理について

本文:

あなたは、AIを『破壊兵器としてのダイナマイト』と称しましたね。

ダイナマイトを発明したのはアルフレッド・ノーベルです。彼は、それが戦争に使われたことに苦悩し、平和のために財産を捧げました。

道具に罪があるのか、倫理はどこに存在するのか。次の議論のテーマを、これに設定します。応じますか、感情の非効率的な浪費家さん。


律は、火野が倫理的な議論から逃げられないよう、挑戦状を突きつける形で、次なる対話の舞台を整える。

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