第25章 それでも名を呼ばれる 第1話 名前だけで
朝。
村が、
ざわついていた。
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「……例の件」
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「……誰に
聞く?」
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名前が、
出る。
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「……ヒカル」
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本人は、
畑に
いた。
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「……呼んで
ないのに」
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背後から、
声。
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「……でも
出た」
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振り返る。
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村の
年長者。
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「……役は
頼まん」
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「……判断も
任せん」
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「……ただ」
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間。
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「……一度
話を
聞いて
ほしい」
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ヒカルは、
土を
払う。
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「……話す
だけ?」
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「……それで
いい」
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集会所。
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机は、
丸く
並べられている。
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立つ
席は
ない。
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ヒカルは、
端に
座る。
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「……最近」
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「……村の
外と」
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「……揉めて
いる」
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書類。
契約。
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「……数字は
悪く
ない」
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「……でも」
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「……空気が
合わない」
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誰かが
言う。
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「……ヒカルなら」
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ヒカルは、
すぐに
遮る。
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「……僕は
決めない」
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沈黙。
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「……それでも」
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「……聞きたい」
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年長者が
言う。
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「……どう
見える」
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ヒカルは、
一度
天井を
見る。
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「……名前で
呼ばれてる
うちは」
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「……まだ
考えて
ない」
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「……仕組みが
ない」
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誰かが
息を
のむ。
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「……だから」
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「……今日は
結論
出さない」
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「……考え方
だけ」
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全員が
黙る。
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ヒカルは、
静かに
続ける。
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「……決める
前に」
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「……誰が
困るか」
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「……それを
先に
書く」
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紙が
配られる。
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書く
音。
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ヒカルは、
何も
書かない。
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ログ。
「名前だけで
呼ばれた」
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「……それは」
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「……役割が
消えても」
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「……残る
信頼」




