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第2話 書いていない判断
午後。
風が、
急に
変わった。
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「……来るな」
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空の色が、
一段
濃くなる。
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「……判断表」
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誰かが
めくる。
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「……強風時の
項目」
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「……ない」
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一瞬、
現場が
止まる。
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「……ヒカルなら
どうする」
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その言葉に、
誰も
答えない。
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監督が
言う。
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「……今日は
ヒカルはいない」
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「……俺たちで
決める」
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新人が
声を
上げる。
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「……土は
乾いてる」
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「……でも
葉が
軽い」
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「……風で
傷む」
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別の作業員。
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「……止める
ほどじゃ
ない」
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「……時間を
ずらす
のは?」
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沈黙。
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誰かが
言った。
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「……書こう」
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「……判断表に
ないなら」
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「……作る」
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紙が
出される。
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「……風が
強い時」
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「……葉が
揺れすぎたら
中止」
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「……判断は
二人以上」
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簡単な
文字。
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「……これで
いいか」
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全員が
うなずく。
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作業は
一部
中止。
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風は
強まる。
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判断は
正しかった。
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夕方。
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監督が
紙を
見つめる。
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「……増えた
な」
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「……判断」
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作業員が
言う。
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「……ヒカルの
表」
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「……続き
ですね」
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監督は、
小さく
笑う。
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「……いや」
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「……もう
俺たちの
だ」
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ログ。
「書いていない
判断」
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「……それは」
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「……失敗
じゃない」
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「……成長の
余白」




