第23章 いなくても動くか 第1話 空いた席
朝。
現場に、
ヒカルは
いなかった。
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「……今日は
来ない
のか」
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作業員が、
判断表を
手に
取る。
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「……昨日
言ってた
通りだ」
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監督は、
腕を
組む。
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「……任せる」
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作業が
始まる。
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水。
土。
音。
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「……昨日より
柔らかい」
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「……じゃあ
水は
少なめ」
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判断が
交わされる。
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午前中は、
問題
なし。
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だが。
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昼前。
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「……ちょっと
待て」
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新人が
立ち止まる。
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「……判断表」
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「……ここ」
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「……曇りの
時は
どう
する」
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沈黙。
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誰も、
すぐに
答えられない。
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監督が、
口を
開く。
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「……ヒカルなら」
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その言葉が、
途中で
止まる。
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「……いや」
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「……自分で
考える」
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全員で
空を見る。
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雲。
風。
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「……雨は
来ない」
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「……風も
弱い」
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「……なら
続行」
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作業は
再開する。
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午後。
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小さな
ミス。
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水が、
少し
多い。
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「……止める
か?」
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「……いや」
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「……調整
できる」
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修正。
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大事には
ならない。
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夕方。
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監督が
言う。
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「……完璧
じゃない」
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「……でも」
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「……止まら
なかった」
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現場の
誰かが
言った。
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「……ヒカル
いなくても」
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「……考えた
な」
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監督は、
遠くを
見る。
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「……ああ」
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「……考える
現場だ」
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ログ。
「空いた
席」
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「……埋めない」
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「……それで
いい」
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「……席が
あるから」
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「……考えが
生まれる」




