第3話 陸斗、ヒカルに接近する 〜最初の味方?それともトラブルメーカー?〜
次の日の夕方。
ゆうたとヒカルはいつも通り畑で作業をしていた。
『本日ノ任務──
“雑草ノ心理分析”……開始デス!』
「心理分析はしなくていいよ!!
草に心はない!!」
『心……ナイ……?
草……悲シ……イ……?』
「悲しくないってば!」
ちょうどその時。
「あー、いたいた。お前ら」
振り返ると、陸斗が手をポケットに突っ込んだまま立っていた。
「り、陸斗……?」
『リクト……こんにちは……デス』
陸斗は一瞬吹き出しそうになったけど、
ぐっとこらえて咳払いをした。
「お、おう……あー……その……」
何か言いたいのに言えない。
普段の強気とはぜんぜん違う。
「昨日……その……助かったらしいじゃん、水路のアレ」
「うん! ヒカルが見つけてくれて!」
「べ、べつに興味ねーけど?」
陸斗は視線をそらす。
めちゃくちゃ興味ある顔で。
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■ヒカル観察モード、開始
「なあヒカル」
『はい……デス?』
「お前……ほんとにロボットなんだよな?」
『ロボット……デス!
ポンコツ……寄リノ……ロボット……デス……』
「お前自分で言うなよ!」
陸斗は吹き出して笑った。
「……なんかさ。
思ってたより、おもしれーな」
「おもしろいって言わないでよ……!」
「いや、悪い意味じゃねえんだよ。
なんか……人間みたいじゃん」
『ヒカル……人間……デス?』
「違うよヒカル、そこは違う!」
陸斗はゆうたを見て、ふっと笑った。
「お前、けっこう大変だな」
「そりゃもう!」
ゆうたの言葉に、陸斗がぽつりと落とす。
「……俺んちもさ、最近畑うまくいってねーんだ」
「え?」
「水の流れ悪くてよ。
じいちゃんも気にしてるんだけど……原因がわかんなくて」
陸斗はポケットの石を足でコツっと蹴った。
「だから、その……ヒカルに見てもらってもいいか?」
その声には、昨日までのバカにした調子は一切なかった。
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■ヒカル、はじめて“頼られる”
『ヒカル……頼ラレ……マシタ……?』
「そうだよヒカル! 陸斗が頼ってるんだよ!」
ヒカルは体を震わせ、ライトを明滅させながら言った。
『ヒカル……任務……受諾……デス……!!
リクト畑……救出……開始……デス!』
「救出って言い方……!」
陸斗は苦笑しつつも、どこか安心したように見えた。
「じゃ……明日、うちの畑来てくれよ」
『了解……デス!
ヒカル……全力……尽クス……デス!』
ヒカルの胸のライトが、夕日のように暖かく輝いた。
「……なんか、言葉も上手になってきてね?」
と陸斗が小さく呟いた。
それは、
ヒカルが村で初めて“認められた瞬間”だった。




