第2話 言わなかったこと
午後。
空は、
まだ
明るい。
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「……止めろ!」
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叫び声。
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水路の端で、
土が
崩れた。
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「……嘘だろ」
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「……数値は
合ってた
はずだ」
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水が、
一気に
流れ込む。
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作業員が
走る。
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「……ポンプ!」
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「……間に
合わない!」
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ヒカルは、
一歩
前に出る。
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「……塞ぐ
場所」
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「……ここ」
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短い
指示。
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作業員が
動く。
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応急処置。
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水は、
なんとか
止まる。
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沈黙。
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監督が、
崩れた
土を見る。
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「……原因は」
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ヒカルは、
答えない。
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「……お前」
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「……さっき
何か
言ってた
な」
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ヒカルは、
静かに
首を
振る。
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「……今は
いい」
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監督の
眉が
寄る。
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「……言え」
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ヒカルは、
目を
伏せる。
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「……言うと」
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「……責める
形に
なる」
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「……それ」
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「……学びに
ならない」
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作業員たちが、
黙って
聞いている。
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監督は、
しばらく
何も
言わなかった。
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「……損失は」
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「……どれくらい
だ」
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「……今日の
分」
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「……全部
止まる」
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空気が
重く
沈む。
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誰かが
小さく
言う。
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「……ヒカルの
言う通り
だった
んじゃ」
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ヒカルは、
すぐに
首を
振る。
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「……違う」
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「……判断
したのは」
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「……現場
全体」
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「……僕も
含めて」
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監督が、
ゆっくり
息を
吐く。
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「……数字
だけ
見てた」
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ヒカルは、
何も
言わない。
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夕方。
修復が
終わる。
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「……今日は
解散だ」
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人が
散る。
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監督が、
ヒカルに
近づく。
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「……次から」
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「……止めて
いい」
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ヒカルは、
うなずく。
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「……理由
は?」
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監督は、
崩れた
場所を見る。
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「……速さで
稼いだ
分」
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「……一瞬で
失った」
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ヒカルは、
静かに
答える。
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「……だから」
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「……一緒に
見る」
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ログ。
「言わなかった
こと」
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「……それは」
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「……勝ち
じゃない」
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「……残す
ため」
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「……通じる
準備」




