第3話 それでも呼ぶ
夜明け前。
畑に、
異変が
起きていた。
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水路の音が、
おかしい。
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「……多い」
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若者が、
駆け寄る。
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水が、
想定より
早く
溜まっている。
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「……昨日の
雨」
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「……地面が
吸わない」
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胸が、
ざわつく。
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止めるか。
流すか。
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迷い。
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でも。
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「……これは」
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「……自分だけ
じゃ
無理」
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若者は、
走った。
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村を
抜け、
家の前へ。
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「……ヒカルさん!」
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扉が
開く。
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ヒカルが
立っていた。
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「……呼んだ」
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それだけ。
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畑へ
戻る。
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ヒカルは、
一歩
下がる。
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「……状況」
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若者が、
息を
整えて
説明する。
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「……水」
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「……雨」
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「……地面」
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ヒカルは、
うなずく。
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「……判断」
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「……正しい」
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「……ここは」
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「……一緒」
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二人で
水路を見る。
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「……分担」
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「……君、
上」
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「……僕、
下」
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指示は
短い。
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作業は
早い。
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村人も
集まる。
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「……ヒカルが
来たぞ」
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でも。
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ヒカルは、
前に
出ない。
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若者が
声を
出す。
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「……今、
止める!」
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「……次、
確認!」
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ヒカルは、
後ろで
見ている。
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水が、
落ち着く。
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夜が、
明ける。
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畑は、
守られた。
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若者は、
座り込む。
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「……ありがとうございました」
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ヒカルは、
首を
振る。
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「……呼んだ
判断」
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「……それ」
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「……一番
大事」
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村の年配者が
言う。
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「……もう」
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「……あいつら
だけで」
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「……回る
な」
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ヒカルは、
空を見る。
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朝日。
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ログ。
「呼ばれた」
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「……でも」
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「……主役
じゃない」
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「……それで
いい」
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「……やっと」
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「……村が
動く」




