第2話 呼ぶという判断
夕方。
畑に、
疲れた空気が
残っていた。
⸻
「……今日は
ここまでか」
⸻
若者が、
額の汗を
ぬぐう。
⸻
雨は止んだ。
水も、
なんとか
足りている。
⸻
――なんとか。
⸻
「……でも」
⸻
若者は、
畑の奥を見る。
⸻
葉の色が、
少し
違う場所。
⸻
「……ここ」
⸻
「……判断、
迷う」
⸻
隣の村人が
言う。
⸻
「……昨日なら」
⸻
「……ヒカルに
聞いてた
な」
⸻
若者は、
一瞬
黙る。
⸻
呼べば、
来る。
たぶん。
⸻
でも。
⸻
「……今日は」
⸻
「……自分で
決める
日」
⸻
そう言って、
しゃがみ込む。
⸻
土を触る。
葉を見る。
⸻
「……今は
触らない」
⸻
「……朝まで
待つ」
⸻
村人は、
少し
不安そうに
うなずいた。
⸻
「……責任、
重いな」
⸻
「……うん」
⸻
「……でも」
⸻
「……逃げる
より
いい」
⸻
夜。
家に
戻っても、
若者は
眠れなかった。
⸻
頭の中で、
何度も
畑を
歩く。
⸻
「……もし」
⸻
「……間違って
たら」
⸻
その時。
⸻
戸の外で、
足音。
⸻
「……起きて
るか」
⸻
村の年配者。
⸻
「……あの
畑」
⸻
「……心配
でな」
⸻
若者は、
正直に
言った。
⸻
「……判断、
しました」
⸻
「……ヒカルさん
呼ばずに」
⸻
一瞬、
沈黙。
⸻
「……そうか」
⸻
年配者は、
ゆっくり
言う。
⸻
「……呼ばなかった
のは」
⸻
「……逃げ
じゃない」
⸻
「……覚悟
だな」
⸻
若者の
胸が、
少し
軽くなる。
⸻
翌朝。
畑。
⸻
葉は、
持ち直して
いた。
⸻
「……よし」
⸻
安堵の
声。
⸻
その時。
⸻
道の向こうに、
ヒカルの
姿。
⸻
歩いている。
でも、
近づかない。
⸻
若者は、
一瞬だけ
手を
止める。
⸻
「……ヒカルさん」
⸻
小さく
声を出す。
⸻
ヒカルは、
聞こえた
はずなのに、
来ない。
⸻
若者は、
分かった
気がした。
⸻
「……呼ぶ
時は」
⸻
「……自分で
決めろ」
⸻
そう
言われて
いる気が
した。
⸻
ログ。
「助けを
呼ばなかった」
⸻
「……それは」
⸻
「……突き放し
じゃない」
⸻
「……信じる
という
こと」




