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田んぼのポンコツロボット 〜今日も泥だらけ〜  作者: さくらんぼ


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第2話 ヒカル、村人の秘密を知る 〜そして、はじめての“味方”〜

 草むしりミッションから数日。

 ヒカルは毎朝、胸のライトをちかちかさせながら畑へ向かうのが日課になっていた。


『本日ノ任務……

“土ノ健康チェック”……開始デス!』


「そんな任務あったっけ?」


『ヒカル……自主任務……デス!』


「勝手に作ったの!? いや、でも偉いけど!」


 そんな漫才みたいなやり取りをしていると、

 畑の端からちょこちょこ走ってくる影があった。


 ――村長の孫娘、みのりだ。


「ゆうたくーん! あ、ヒカルも!」


『ミノリ……こんにちは……デス』


「ヒカル、しゃべり方ちょっと上手になったね!」


『ヒカル……成長……デキマシタ……?』


「うん! 昨日より人っぽいよ!」


 褒められたヒカルの胸のライトが、

 ぱんっと眩しいくらいに明るく輝いた。



■みのりがヒカルを見て、ぽつりと言う


「ねぇ、ゆうたくん」


「ん?」


「ヒカルを、いじめてる人……怒らないの?」


 ゆうたの手が止まった。

 みのりは真剣な顔をしている。


「怒ってるよ……! めちゃくちゃ!」


「でも全然言い返さないじゃん」


「だって……言い返したって、ヒカルがもっと嫌われるだけだよ」


「でもね、知ってる?」

 みのりは声を潜めた。


「村のお兄ちゃん達、ほんとはヒカルのこと気になってるよ」


「え!? 気になってるって……悪い意味ででしょ?」


「違うよ。気になってるのは……あれ」


 みのりが指をさす先には、

 ヒカルが土に座り込んでスコップを逆さに持ちながら、


『スコップ……逆……デシタ……』


 と、のんびり自己報告している姿。


「……なんか、可愛いんだって」


「えぇぇ……」


「“ほっとけなくなるポンコツ感”って言ってたよ」


 ゆうたは思わず笑ってしまう。


 でも、

 そのあとみのりが小さくつぶやいた言葉が、

 ゆうたの胸にひっかかった。


「……ほんとはね。

 お兄ちゃん達、みんな……こわいんだよ」


「こわい?」


「ロボットが“仕事を奪う”って。

 でもヒカルを見て、“仕事奪われる心配なさそう”って思ったって」


「そこ笑うとこなの……?」



■ヒカルの“秘密の能力”が動く


 その時だった。


『ゆうた……ミノリ……

畑ノ隅……反応……アリ……デス』


「反応?」


『土ノ湿度……オカシイ……デス』


 ヒカルがよろ…よろ…と歩きながらセンサーを向ける。

 胸のライトが淡く点滅した。


『コノ土……水……足リナイ……デス……』


「え、ここ水やってるはずだよ?」


「おじいちゃん、毎日見てるって言ってたよ?」


 しかしヒカルは首をふる(ぎこちなく)。


『水……流レ……外ニ……逃ゲテマス……

土……カラ……抜ケテマス……』


「あ! みて! ほら!」


 みのりが指さした先には、

 古い水路がひび割れて、そこから水が抜けてしまっているのが見えた。


「これ……気づかなかった……!」


 みのりが驚き、ゆうたも息をのむ。


 ヒカルが見つけなければ、

 間違いなく苗は弱っていただろう。


『ヒカル……任務……完了……デス』


「ヒカル……すごい!!」


「すごいよヒカル! 天才かも!!」


『天……サイ?

ヒカル……天サイ……デス?』


「たぶんね!」


 ヒカルのライトが今までで一番明るく光り、

 胸の前で小さく“ぽんっ”と音が鳴った。



■そして、はじめての“味方”


 その様子を少し離れた場所から見ていた少年がいた。


 ――村のガキ大将、陸斗りくと


 いつもヒカルをバカにしていた張本人だ。


 しかし、口元には

 意外にも笑いをこらえるような柔らかい表情。


「……ヒカル、意外と役に立つじゃん」


 それは、嘲笑ではなく。


 明らかに――

 興味を持ち始めた目だった。

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