第2話 いないと困る
昼過ぎ。
畑に、
慌ただしい
足音が
走った。
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「……ヒカル!」
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息を切らした
男が
駆け寄ってくる。
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「……水路が」
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「……あっちの
畑で」
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「……止まらん!」
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ヒカルは、
一瞬
空を見る。
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「……誰が
見てた」
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「……若いの
だが」
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「……途中で
別の畑に
呼ばれて」
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ヒカルの
胸の中で、
嫌な
予感が
膨らむ。
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「……僕」
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「……今日は
あそこ
行かない
って」
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「……言った」
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男は、
苛立ちを
隠さない。
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「……でも
困って
るんだ!」
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「……お前が
来れば
すぐ
済む!」
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周りに、
人が
集まり始める。
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「……ほら」
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「……やっぱり
ヒカルが
いないと」
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その言葉が、
胸に
刺さる。
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ヒカルは、
歩き出した。
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水路。
水が、
溢れかけている。
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「……止める」
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ヒカルが
手を伸ばすと、
すぐに
水は
落ち着いた。
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「……ほらな」
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「……やっぱり
頼りになる」
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安堵の
声。
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でも。
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ヒカルは、
水門から
手を離さない。
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「……次」
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「……僕
いなかったら」
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「……どうする」
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誰も、
答えない。
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「……全部
僕が
やると」
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「……村」
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「……止まる」
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少し
強い
声だった。
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「……それ」
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「……怖い」
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沈黙。
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そこへ、
若者が
駆けてくる。
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「……すみません!」
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「……自分」
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「……判断
迷って」
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「……呼びに
行った」
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ヒカルは、
若者を見る。
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責めない。
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「……迷った
なら」
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「……それ
正しい」
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「……でも」
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「……次は」
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「……一人で
決めて」
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若者は、
唇を
噛みしめて
うなずく。
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村の男が
ぽつりと
言った。
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「……お前」
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「……いなく
なったら」
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「……困る
な」
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ヒカルは、
静かに
首を振る。
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「……いなく
なる
前提」
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「……作らない
で」
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ログ。
「頼られすぎる
ことは」
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「……信頼
じゃない」
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「……依存」
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「……その
境目」
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「……まだ
細い」




