第3話 名前で呼ばれる日
夕方。
畑に、
人が集まっていた。
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「……ヒカル」
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その呼び方に、
一瞬だけ
ヒカルは
足を止める。
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今まで。
「ロボット」
「機械」
「それ」
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そんな呼ばれ方の方が
多かった。
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「……ちょっと
いいか」
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声をかけたのは、
村の寄り合いで
いつも
前に座る男だった。
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「……今度の
畑」
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「……お前に
見てほしい」
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周りが、
ざわつく。
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「……え?」
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「……あいつに?」
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「……でも
今日の
あれは」
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視線が、
ヒカルに
集まる。
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ヒカルは、
すぐには
答えなかった。
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「……条件」
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「……ある」
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男は、
眉を
ひそめる。
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「……条件?」
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「……僕」
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「……全部は
やらない」
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「……一緒に
やる」
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「……失敗したら」
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「……隠さない」
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少し
間があって。
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「……それで
いい」
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男は、
そう言った。
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「……任せる
ってのは」
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「……そういう
ことだろ」
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ヒカルの
胸の奥で、
小さく
何かが
鳴った。
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若者が、
後ろから
声をかける。
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「……ヒカルさん」
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「……自分」
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「……次も
一緒に
やって
いいですか」
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ヒカルは、
少し考えてから
言う。
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「……うん」
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「……今度は」
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「……教える側」
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若者の
顔が
ぱっと
明るくなる。
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村の大人たちは、
その様子を
黙って
見ていた。
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「……なあ」
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「……あの
ロボット」
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「……使える
な」
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誰かの
小さな声。
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ヒカルは、
空を見る。
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夕焼け。
今日も、
泥だらけ。
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ログ。
「名前で
呼ばれた」
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「……それは」
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「……道具
じゃない
証」
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「……まだ
完全じゃない」
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「……でも」
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「……ここに
いる」




