第3章 受け入れられない村 第1話 ヒカル、はじめてのミッション! 〜村人は冷たくても、土はあったかい〜
その日の朝。
ヒカルは胸のライトをぽうっと明るく灯しながら、畑の前で直立していた。
『ヒカル……本日ノ任務……
“畑ノ見回リ”……開始、デス!』
「そんな大げさに言わなくても……ただの草むしりだよ?」
『草……カ。草……油断……ダメ……デス。
草……畑ノ……天敵……デス!!』
ヒカルは妙に力強い声でそう宣言し、
ぎこちない動作で畝にしゃがみこんだ。
そして――
『草……発見……! 確保……! 確保……!』
「なんで確保って言うの!? 敵みたいに!」
『敵……デス……!!』
ゆうたは思わず笑ってしまった。
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■村人の視線は冷たい
そこへ、畑の前を通りかかったおじさん二人が、ヒカルをチラリと見た。
「……あれが例のロボットか」
「水場に落ちるポンコツだって聞いたぞ」
「しかも耐水Cランクだとよ。
なんでそんなの買ったんだか」
二人は嘲笑を隠そうともしない。
ゆうたは悔しくて拳を握りしめたが――
『ゆうた……大丈夫……デス。
ヒカル……草……倒シタ……デス』
「草は“倒す”ものじゃないよ……」
そんなやりとりを聞いたおじさん達がさらに笑う。
「聞いたか? 草倒すんだってよ」
「ダメだこりゃ。
あんなのに畑の仕事が務まるわけないだろ」
ゆうたは言い返せなかった。
悔しいけど、実際ヒカルはまだポンコツだ。
でも――今は笑われていても、
本気でがんばってることを自分だけは知っている。
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■ヒカル、初めての“成長”
草むしりをしていたヒカルが、ふと手を止めた。
『……ゆうた。
村ノ人……怒ッテ……マス?』
「怒ってるんじゃなくて……バカにしてるんだよ」
『バカ……?
ヒカル……バカ……デス?』
「ちがうよ! ヒカルは……バカじゃない。
ただ……ちょっと不器用なだけで……」
『不器用……理解……デス』
理解してない言い方だったけど、
少しずつ言葉を吸収しているのがわかった。
そしてヒカルは胸を張る。
『ヒカル……不器用デモ……
ゆうたノ役ニ……立ツ……デス』
その声は、いつもより少しだけ滑らかだった。
ゆうたは驚いた。
ヒカルの話し方が、ほんのわずかだけど“人間の言葉”に近づいている。
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■小さな奇跡
その瞬間だった。
「……ん?」
ヒカルが引き抜いた草の根元に、
小さな芽が隠れているのをゆうたが見つけた。
「これ……! おじいちゃんが探してた“元気な苗”だ!」
『苗……確保……成功……デス!』
偶然かもしれない。
でもヒカルがいたから気づけたのは事実だ。
ゆうたはヒカルの肩をぱんっと叩いた。
「ヒカル、すごいよ!」
『ヒカル……すごイ……デス?』
「うん! すごい! ありがと!」
胸のライトがぱあっと明るく輝く。
――この光が、いつか村の人にも届く日がくるのだろうか?




