表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田んぼのポンコツロボット 〜今日も泥だらけ〜  作者: さくらんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/112

第16章 教えるという不安 第1話 教えてほしいと言われた日

 その人は、

昼過ぎに来た。


 見慣れない服。

新品の長靴。


 畑の土が、

まだついていない。



「……あの」


 少し、

遠慮がちな声。



「ヒカル、

さん……ですか?」



 ヒカルは、

顔を上げる。


 名前。


 “さん”。



「……はい」



「他の村から

来ました」


「農業、

初めてで……」



 一拍。



「……教えて、

ほしいです」



 その言葉で、

ヒカルの思考が

止まった。



「……僕?」



「はい」



 胸の奥が、

ざわつく。


 判断。


 水。


 守る。


 それは、

やってきた。



 でも――



「……僕」


「失敗、

します」



「間違う」


「言葉、

下手」



 正直に、

言う。



「それでも」


 相手は、

うなずいた。



「ここで

やってる人に

教わりたい」



 ヒカルは、

畑を見る。


 土。


 水路。


 苗。



「……一緒に」



「え?」



「……一緒に

やる」


「教える、

じゃない」



「見る」


「触る」


「失敗、

する」



 相手は、

少し笑った。



「それで

いいです」



 作業が始まる。


 ヒカルは、

ゆっくり動く。



「……ここ」


「足、

置く」



「水、

今は

少し」



 説明は、

短い。


 でも、

手は止めない。



「……あっ」


 若者が、

足を滑らせる。



「……大丈夫」


 ヒカルが、

支える。



「僕も、

最初」


「転んだ」



「本当ですか?」



「……三回」



 二人で、

小さく笑う。



 遠くで、

子どもたちが

見ていた。



「ヒカル、

先生みたい!」



 ヒカルは、

首を振る。



「……違う」



「……一緒」



 夕方。


 作業は、

うまくいったとは

言えない。


 でも、

畑は荒れていない。



「……ありがとうございました」



 ヒカルは、

少し考えてから

言う。



「……また」


「明日」



「はい!」



 夜。


 ログ。


「今日は、

教えた」



「正確じゃ

ない」


「上手くも

ない」



「でも」



「“一緒”は

伝わった」



「……教えるのは」


「少し、

怖い」



「でも」



「逃げたいとは

思わなかった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ