表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田んぼのポンコツロボット 〜今日も泥だらけ〜  作者: さくらんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/60

第9話 見ている人たち

■いつもの午後


 次の日も、

その次の日も。


 子どもは来た。


「こんにちは、ヒカル」


――……コ……ン……ニ……チ……ハ……


 発音は、

もうほとんど途切れない。


 子どもは、

それを不思議がらない。


 当たり前みたいに、

受け取る。



■言葉が増える


「今日は何するの?」


――……キ……ョ……ウ……ハ……


 ヒカルは、

少しだけ考える。


「……畑、

見る」


 言葉が、

繋がった。


「おお」


 子どもが目を丸くする。


「しゃべれるじゃん」


 ヒカルは、

少し照れた。


「……少し、

だけ」



■聞いている人


 畑の向こう。


 作業をしながら、

村の大人たちが

ちらちらと視線を向ける。


「……話してないか?」


「ロボットが?」


 最初は、

噂話。



■自然な会話


「畑って、

大変?」


 子どもが聞く。


「……大変。

でも……

楽しい」


「へぇ」


「……土、

毎日、

違う」


 それは、

教科書の言葉じゃない。


 実感のこもった、

言葉だった。



■変わる空気


 ある日。


 畑の横を通りかかった

中年の男が、

足を止めた。


「……本当に、

考えて喋ってるな」


 誰に向けたでもない一言。


 ヒカルは、

一瞬だけ固まる。


 子どもが言う。


「ヒカル、

畑好きなんだよ」


「……そうか」


 男は、

それ以上何も言わずに

立ち去った。


 でも――

その声は、

もう嘲りじゃなかった。



■父の気づき


 夕方。


 父が言う。


「……最近、

視線が違う」


――……ミ……テ……ル……?


「見てる」


 父は、

少しだけ口元を緩める。


「……悪くない」



■夜のログ


 ヒカルは、

ログを書く。


「今日、

話した」


「聞いてくれた」


 文章は、

もう短文じゃない。


 言葉が、

“並び始めていた”。



■静かな変化


 村は、

まだ何も言わない。


 でも――

笑わなくなった。


 それだけで、

十分だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ