表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田んぼのポンコツロボット 〜今日も泥だらけ〜  作者: さくらんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/62

第7話 土の匂い

■境目


 畑は、

縁側のすぐ先にある。


 でも今日は、

やけに遠く見えた。


――……ハ……タ……ケ……


「無理はするな」


 父は言う。


「立つのと、

歩くのは違う」


――……ワ……カ……ル……


 ヒカルは、

ゆっくりとうなずいた。



■一歩


 土の上。


 足の裏に、

柔らかい感触。


――……ヤ……ワ……ラ……カ……


 わずかに、

体が揺れる。


「踏ん張るな」


 父の声。


「地面に、

体を預けろ」


――……ア……ス……゛……ケ……


 ヒカルは、

言われた通りにする。



■記憶


 泥。

 雨。

 転倒。


 胸部に、

微かな警告。


――……コ……ワ……イ……


 ヒカルは、

立ち止まる。


 父は、

何も言わない。


 待つ。



■進む


 ヒカルは、

深く――

人間みたいに、

息を吸った。


――……イ……ク……


 もう一歩。


 土が、

少しだけ沈む。


 でも、

倒れない。


――……タ……゛……イ……シ……゛……ョ……ウ……



■土の匂い


 風が、

畑を渡る。


 土の匂い。


 濡れた草。


 ヒカルは、

目を細めた。


――……ニ……オ……イ……


「わかるか」


 父が聞く。


――……ス……キ……


 その言葉に、

父は一瞬、

驚いた顔をした。



■道具


 父が、

小さな鍬を差し出す。


「持てるか」


――……ユ……ッ……ク……リ……


 ヒカルは、

両手で受け取る。


 重い。


 でも――


――……ナ……ツ……カ……シ……


 胸の奥が、

少しだけ温かくなる。



■一列だけ


「一列でいい」


 父は言う。


「それ以上は、

今日はやるな」


――……ハ……イ……


 ヒカルは、

ぎこちなく土を起こす。


 真っ直ぐじゃない。


 深さも、

バラバラ。


 でも――


「……悪くない」


 父は、

それだけ言った。



■帰り道


 畑から戻る途中。


 ヒカルは、

少しだけ振り返る。


――……ア……シ……タ……


「明日も、

同じでいい」


 父の声。



■夕暮れ


 空が、

赤く染まる。


 ヒカルは、

今日のログを書く。


――……キ……ョ……ウ……


――……ハ……タ……ケ……

――……イ……ッ……タ……


 短いけど、

誇らしい。


 ヒカルは、

確かに“外”に出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ