第2話 声の届く場所
■暗闇の中で
暗い。
でも、
前より「無」じゃない。
――……オ……ト……?
音が、
遠くで鳴っている。
金属が触れる音。
規則的な振動。
――……オ……ト……ウ……サ……ン……?
名前を呼ぼうとして、
声にならない。
⸻
■断片
映像が、
点々と浮かぶ。
畑。
泥。
雨。
必死な声。
――……ユ……ウ……タ……
胸が、
ぎゅっと締め付けられる。
――……ワ……タ……シ……
――……タ……゛……イ……シ……゛……ョ……ウ……
――……シ……゛……ャ……
――……ナ……カ……ッ……タ……
⸻
■外の声
「……ここ、腐食が深い」
父の声。
「交換する?」
母。
「……いや、残す」
「え?」
「削って、補強する」
その言葉が、
ヒカルに届く。
――……ノ……コ……ス……?
⸻
■選ばれた部品
父は、
古い配線をなぞる。
「ここは……
無理させた痕だ」
ヒカルの中で、
処理が走る。
――……コ……コ……
――……カ……゛……ン……ハ……゛……ッ……タ……
それは、
誇りだった。
⸻
■小さな応答
父が、
電源をつなぐ。
……ピ……
ほんの一瞬、
内部が明るくなる。
――……!
ヒカルは、
全力で信号を出す。
――……コ……コ……
――……イ……マ……ス……
外には、
聞こえない。
でも――
ピ……
ランプが、
一度だけ点いた。
⸻
■父の反応
父の手が止まる。
「……今、動いたな」
母が息をのむ。
「ええ……」
父は、
小さく息を吐いた。
「……戻ろうとしてる」
⸻
■ヒカルの決意
暗闇の中で、
ヒカルは考える。
――……ヤ……ク……ニ……
――……タ……テ……ナ……ク……
――……テ……゛……モ……
――……モ……ト……゛……リ……タ……イ……
それは、
最初に生まれた
“自分の意思”だった。
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■続く作業音
外では、
工具の音が続いている。
それは、
途切れなかった。
ヒカルは、
その音を聞きながら、
静かに待った。
――……マ……ツ……




