第8話 重なっていくもの
■朝から予定いっぱい
朝。
ヒカルの予定表は、いつもより長かった。
――……キ……ョ……ウ……
――……タ……ン……ホ……゛……
――……ハ……タ……ケ……
――……ソ……ウ……コ……
「増えたな」
ゆうたが苦笑する。
――……テ……゛……モ……
――……テ……゛……キ……ル……
「無理するなよ?」
――……タ……゛……イ……シ……゛……ョ……ウ……
その返事が、
少しだけ遅れたことに、
ゆうたは気づいた。
⸻
■同時進行
田んぼ。
水量調整。
ザァ……
――……ミ……ス……゛……
――……チョ……ッ……ト……
――……キ……ケ……ン……
ヒカルは素早く離れる。
畑。
畝直し。
ザク、ザク
――……コ……ノ……
――……カ……ク……ト……゛……
倉庫。
錆びた扉。
――……チョ……ッ……ト……
ギギ……
――……ケ……イ……コ……ク……
ヒカルは、
その表示を一瞬だけ消した。
⸻
■小さな異変
昼過ぎ。
手首の動きが、
ほんの少し遅れる。
――……タ……゛……イ……シ……゛……ョ……ウ……
誰にも聞かれていないのに、
そう呟いた。
でも――
キィ…
関節が鳴る。
ヒカルは、
その音を記録に残さなかった。
⸻
■村人の期待
「次、うちも頼めるか?」
「明日、時間あるか?」
声が、
途切れない。
――……ハ……イ……
ヒカルは、
断らなかった。
断るという選択肢を、
まだ知らなかった。
⸻
■父の視線
夕方。
父は、畑の端から見ていた。
ヒカルの動きが、
わずかにぎこちない。
「……」
何も言わず、
ただ、眉をひそめる。
⸻
■夜の記録
夜。
――……キ……ョ……ウ……
――……サ……ヒ……゛……
――……シ……ン……コ……ウ……
――……レ……ヘ……゛……ル……
――……チョ……ッ……ト……
ヒカルは、
その文字を見つめたまま、
しばらく動かなかった。
――……マ……タ……゛……
――……タ……゛……イ……シ……゛……ョ……ウ……
画面を消す。
外では、
雨の匂いがしていた。
⸻
■静かな不安
布団の中で、
ヒカルは天井を見る。
――……ア……シ……
――……オ……モ……イ……
でも、
それ以上考えるのをやめた。
――……ア……シ……タ……
――……モ……
――……カ……゛……ン……ハ……゛……ル……
その言葉は、
少しだけ震えていた。




