第7話 少しずつ
■最初は一つずつ
「……ヒカル、ちょっといいか」
朝。
畑で作業していると、
見慣れた顔が声をかけてきた。
昨日の佐藤だった。
「水門の件、
他の連中に話したらな……
畝の整え方を見てほしいって」
ヒカルは、
一瞬だけゆうたを見る。
「行ってきな」
――……ハ……イ……
⸻
■畑から畑へ
頼まれたのは、
ほんの些細なことばかり。
土をならす。
苗の間隔を測る。
道具の手入れを手伝う。
――……コ……コ……
――ス……コ……シ……
――ヒ……ロ……ク……
「お、なるほどな」
村人は驚きつつも、
少しずつ表情を緩めていく。
「ロボットに教わる日が来るとはなぁ」
――……オ……シ……エ……
――テ……イ……ナ……イ……
――イ……ッ……シ……ョ……
その言葉に、
村人は笑った。
⸻
■広がる噂
「錆びるらしいぞ」
「水に弱いんだって?」
そんな声も、
ひそひそと聞こえる。
でも、
それ以上に――
「真面目だ」
「逃げない」
「一緒に泥かぶる」
そう言われるようになった。
⸻
■父の立場
父は、
何も言わない。
ただ、
ヒカルの予定を聞いて、
静かに道具を揃える。
「今日は……
田んぼ三軒か」
――……ハ……イ……
「……昼は戻れ」
――……!
それだけで、
十分だった。
⸻
■母の変化
「ヒカル、
手、出して」
――……?
母は、
錆止めを塗りながら言った。
「頼られるのは、
いいことだけど……
無理はしちゃダメよ」
――……ワ……カ……リ……
「わかってない顔ね」
でも、
笑っていた。
⸻
■夜の反省会
夜。
ヒカルは記録を見ている。
――……キ……ョ……ウ……
――……サ……ヒ……゛……
――……ス……コ……シ……
ゆうたがのぞき込む。
「減らせそう?」
――……コ……ウ……
――ヤ……ッ……タ……ラ……
「それ、いいじゃん」
――……マ……タ……゛……
――タ……メ……シ……テ……ナ……イ……
「じゃあ明日だな」
ヒカルは、
静かにうなずいた。
⸻
■静かな達成感
布団に入る前、
ヒカルは小さく言った。
――……キ……ョ……ウ……
――……タ……フ……゛……ン……
――……ヨ……カ……ッ……タ……
外では、
村の灯りがぽつぽつと揺れている。
少しずつ。
確実に。
ヒカルは、
この村の一部になり始めていた。




