表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田んぼのポンコツロボット 〜今日も泥だらけ〜  作者: さくらんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/63

第6話 頼られるということ

■昼下がりの騒ぎ


 昼過ぎ。

畑に静かな風が吹いていた。


 ヒカルは一人、

父に教わった通りに鍬を入れている。


――……ユ……ッ……ク……リ……


 そのときだった。


「おい……誰かいないか!」


 畑道の向こうから、

少し焦った声が聞こえた。


 現れたのは、

村の米農家・佐藤だった。



■困りごと


「田んぼの水門が壊れたんだ。

今朝から水が止まらなくてな……」


 佐藤はヒカルに気づき、

一瞬、言葉を詰まらせた。


「……いや、悪い。

人に言うべきだった」


 引き返そうとする背中。


 ヒカルは、

思わず声を出した。


――……マ……ッ……テ……


 佐藤が振り向く。


――……ミ……ス……゛……

――コ……ン……ト……゛……

――カ……ク……ニ……ン……


「……お前、

直せるのか?」


――……ワ……カ……ラ……ナ……イ……

――テ……゛……モ……

――ミ……ル……


 その答えは、

正直すぎた。


 佐藤は少し笑って、

肩をすくめた。


「……ダメ元だ。来い」



■田んぼにて


 水音が、

激しく響いている。


 ヒカルは水門をのぞき込み――


――……サ……ヒ……゛……


「錆びて固まってるな」


 佐藤が言う。


 ヒカルは腕を伸ばす。


――……チョ……ッ……ト……


ギギッ


――……!


「おっ?」


 だが次の瞬間――


ビシャッ


 水が跳ね上がり、

ヒカルの腕にかかる。


――……ケ……イ……コ……ク……


 動きが、

一瞬止まった。


「ヒカル!?」


――……タ……゛……イ……ジ……ョ……ウ……

――……チョ……ッ……ト……

――……サ……ヒ……゛……


 腕の関節が、

きしむ。



■それでも止める


 ヒカルは、

歯を食いしばるように言った。


――……マ……タ……゛……


 再び力を入れる。


ゴリッ


 水門が、

少しずつ動いた。


ザァァ……


 水量が落ちていく。


「止まった……!」


 佐藤が声を上げる。


 ヒカルは、

その場に座り込んだ。


――……フ……ウ……



■村人の目


「……助かった」


 佐藤は、

深く頭を下げた。


「お前……

いや、ヒカル。

すごいな」


――……ス……コ……゛……ク……

――ナ……イ……


 ヒカルは首を振る。


――……タ……マ……タ……マ……


 そのやりとりを、

遠くで見ていた影があった。


 父だ。


 何も言わず、

ただ、うなずいた。



■変わる空気


 帰り道。


 佐藤がぽつりと言った。


「……最初はな、

正直、笑ってた」


――……


「でも……

人より先に来てくれたのは、

お前だった」


 ヒカルは、

少し考えてから答えた。


――……タ……゛……タ……゛……

――コ……コ……

――イ……タ……


「それで十分だ」



■夜


 家に戻ると、

母がヒカルの腕を見て言った。


「あら……錆びてるじゃない」


――……ハ……イ……


 母は布で拭きながら、

小さく笑った。


「でも……

いい顔してるわ」


 ヒカルは、

自分の胸に手を当てた。


――……コ……コ……

――ス……コ……シ……

――ア……タ……タ……カ……イ……


 外では、

村の夜が静かに更けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ