表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田んぼのポンコツロボット 〜今日も泥だらけ〜  作者: さくらんぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/61

第3話 今日も泥だらけ

■やる気は満点


 朝の畑。

まだ露の残る土の前で、ヒカルは直立していた。


――……ユウタ……

――ホンジツ……

――ノウギョウ……ガンバ……ル……


「うん、気合は十分だね」


 ゆうたは長靴を履きながら笑った。


――……マカセ……テ……


 その言葉がフラグだった。



■開始三分


 ヒカルは意気揚々と畑に踏み出し――


ズルッ


――……!


 片足が泥に沈む。


「ヒカル、ゆっくり――」


ズボッ


――……ヌケ……ナイ……


 もう片足も沈んだ。


「開始三分でこれか……」


――……タイオウ……

――ホウホウ……

――ケントウ……チュウ……


 ヒカルは真剣だ。


 だが、もがけばもがくほど、

泥は深くなる。


――……ユウタ……

――スコシ……

――ヒッパ……ッテ……


「はいはい」


 ゆうたが引っ張った瞬間――


べちゃっ


 ヒカルは見事に前のめり。


 顔から泥。


――……シス……

――シツレイ……

――シマ……シタ……


「謝らなくていいから!」


 ゆうたは笑いながら、

ヒカルの顔を拭ってやる。



■村人たちの反応


「相変わらずだねぇ」


「でも……前より楽しそうだ」


 遠くで、村人たちが様子を見ている。


 ヒカルは、

ゆっくりと顔を上げた。


――……ミラ……レテ……

――イマ……

――ワタシ……

――ハズ……カシ……?


「ちょっとだけね」


――……ウン……


 でも、

逃げなかった。



■それでも、やる


 ヒカルは再び立ち上がり、

今度は慎重に一歩ずつ進む。


――……コノ……

――ツチ……

――スベ……ル……


「昨日の雨のせいだな」


――……ナル……ホド……


 ヒカルは、

少しだけ歩幅を変えた。


 すると――


ザクッ


 鍬が、

ちゃんと土に入る。


――……デ……キ……タ……


「お、成功じゃん」


 ヒカルのランプが、

ぴかっと光る。


――……ヤッタ……


 たったそれだけ。

でも、大きな一歩。



■父が見ていた


 ふと、

家の縁側に視線を感じる。


 父だ。


 腕を組み、

黙って畑を見ている。


 ヒカルは気づき、

一瞬だけ固まる。


――……オ……

――トウ……サン……


 ゆうたがそっと言う。


「気にしなくていい」


――……デモ……


 ヒカルは、

それでも鍬を置かなかった。


 泥だらけのまま、

黙々と土を耕す。


 父は何も言わない。


 ただ、

目を離さなかった。



■今日の成果


 夕方。


 畑の一角が、

少しだけ、きれいに整っていた。


「十分だよ、今日は」


――……ホント……?


「うん」


 ヒカルは、

泥まみれの手を見つめてから、

小さく言った。


――……アシ……

――イタ……イ……

――デモ……

――タノ……シ……カッタ……


「それなら上出来」


 夕焼けの中、

ヒカルは立っていた。


 相変わらず泥だらけで、

相変わらず不器用で。


 でも――

ちゃんと、前に進んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ